俺が手に入れた力を使えば、人間の虐殺など赤子の手を捻るようなものだった。
忌々しいあの女を支配下に掌握した事により、“財団”直属部隊を思う存分利用できるようになったからだ。
俺専用に与えられた輸送機の乗り心地は、概ね快適だった。
衛星通信により各地の情報を逸早くキャッチする事ができ、最大時速2400kmの巡航速度は人類抹殺の脚を軽快にしてくれた。
俺は世界を各地を飛び回り、俺の『お仲間』から逃れシェルター生活を送っている人間共を一人残らず手に掛けていった。
政治家。
財界人。
官僚。
王族。
その全てが跪き、涙を流して懇願してきた様を瞼の裏で思い返し、俺は恍惚の表情を浮かべていた。
笑みが止まらなかった。
きっと、俺の顔はこの如何とも形容し難い悦楽に歪んで見えただろう。
世界はアメーバに支配される。無論、その王である俺は人類を抹殺し、世界の全てをぶち壊す。
それが俺をこんな身体にした人間達への復讐だった。
「こんな事をして……何になるのよ」
傍らで、少女が力無く呟いた。
俺は視線をモニターから、管制室の壁に立ったまま拘束されている彼女に移した。
視界に映る少女は今、一糸纏わぬ姿で両手両足を思い切り広げた状態で磔にされていた。
俺は目を細め、嘗め回すように彼女の程よく成熟した肢体に視線を這わせ、言った。
「良い姿だな」
「ふ……、ふざけないでよ」
少女の、アーモンドのような、釣りあがった瞳が俺をキッと睨んだ。
その鋭い視線に、俺は肩をすくめた。
「何になるなんてのは、愚問なんだよ。これは人類、そして何よりお前に対する復讐ためだけにやってるんだよ。お前は人類を救いたいと言った。なら、お前を憎いと思っている俺がその逆をするのは当然の事だろう?」
「人間を抹殺してしまったら、何の意味も無いじゃない……」
「くだらないな」
俺は少女の顎を掴み、無理に上を向かせた。
「ああ、お前に復讐する以外の意味は無い。だけどな……」
「なっ……、何よ」
「人間を救う為に俺をこんな身体にしたお前も、人間を殺したのと一緒なんだよ」
「……」
「お前はお金で買えないものはないと言ったな。でもな、俺の元の身体はお金で買い戻せないんだよ!!」
俺は、少女の顎を掴んだまま、その後頭部を背後の壁に叩き付けた。
何度も。
何度も。
何度も。
「止め……て……」
目に涙を溜め、擦れた哀願の声を漏らす少女。
しかし、俺はその願いを聞き入れることは無く、繰り返し少女に苦痛を与えていく。
憤怒。憎悪。恨み。敵意。殺意。
その全てを腕の力に込めて、何度も、何度も、彼女の頭を叩き付ける。
自慢のツインテールも解け、広がった髪を掴み上げる。
苦痛に歪む彼女の顔を、俺は恍惚の表情で見下ろした。
「お前の頭がおかしくなるほど継続的に苦痛を与え、恥辱を与え、人類が滅亡していく様を見せてやる。それが、俺の身体を買ったお前が払う対価だ」
俺の背から数多の触手が、少女の雪色の肌を這う。
秘裂、後ろの蕾、体中の穴という穴を塞ぎ、彼女に快楽と同時に苦痛を与えていく。
管制室に、嬌声とも苦痛の叫びとも取れる少女の声と、高らかな嘲笑が響いた。