「もし、ここから飛び降りたら楽に死ねるのかな。」
彼女が遙か彼方下方を見ながら独り言のようにつぶやいた。
「さぁな。死にたければ飛べばいいさ。止めて欲しけりゃ止めてやるよ。」
彼もまた彼女を見ようともせずに独り言のように言い放った。
そして、彼女の足はそれ以上崖に向かうことは無かった。
だから俺はそれが彼女の意思だと思った。
場所は崖の上、ヒロインは余命が一年と宣告された少女、主人公は不死の少年。
そんな二人の物語。
彼と彼女の物語はそんなことから始まった。