「そんなものは死んだ猫に餌をやるのと一緒だよ」
白目がない老人が膝の上の猫を撫でながらそう言った。
「なんの意味もない。自分を誤魔化すだけの為の無意味な行為さ」
老人は小さい体を縮ませて長椅子に横たわった。
猫の体が老人の膝から滑り落ちる。
猫の体はまるで熟れきった果実が地面に叩きつけられたかの様に
ぐちゃぐちゃに飛び散ってしまう。
赤黒い飛沫がまわりに飛び散る。
途端に腐臭が部屋の中にたちこめはじめる。
老人は床にこびりついた猫だった物の跡を無表情に見つめ
やがて浅い眠りにつく。