2話-夢の世界
うーむ。
こんなはずじゃ・・・・
あっていいのか?こんなことが。
++
「じゃ~この部屋。つかっていいから~」
「おぅ。サンキューな!」
鑑はそそくさと自分の部屋へと戻っていったようだ
鑑の家にいくと
それはもうなんというべきか
完璧に完全に予想どうりに、
普通の家だった。
「ま、それでいいんだがな・・・」
ひとまずこれで
今日は安心して眠れる
だろうか・・・
「考えるべきは・・・」
今おかれている状況だ。
此処はどうも
いやな予感が的中していればだが
「俺があこがれていた、
"魔法"のある夢の世界・・・」
夢みる少年というのか
なんというのか。
ひたすらに妄想癖。
ようするに"痛い子"に近かったのかもしれない
いや、"痛い子"代表でここにいるのか?
「"叶って"もらってもなぁ・・・」
いや、
そうじゃないのかもしれない。
というか
そうでなくて欲しい
「もし"叶った"のなら。まさか・・・」
ふと、頭をよぎる。
「うーむ」
頭に描く。
自分の"夢"の憧れを。
「もし、俺の。いや。"夢"見る少年の憧れの世界なら!」
頭に描く。
「はぁっ!」
右手を前にかざす。
すると
シュボッ
「・・・おいおい。まじかよ・・・」
現れたのは一筋の灯火
それも
"描いた"通りに、だ。
これは・・・まさか・・・
「期待せざるを得ないな。
これからの人生に・・・」
自分で自分に突っ込みたいよ。
さっきまでのブルーはどうしたんだ、俺。
何処まで"痛い子"なんだ
・・・
・・・・・・
「何とかなるさ。」
あぁ。
大丈夫だろうか。俺。
++
**
ようこそ。ここへ。
そんな声が聞こえてきた気がする。
「そんなわけはないのだがな」
さて、どうなったのだろうか。
私は"例の部屋"に辿り着く
暗く明かりのない部屋。窓もない。
中央には机と大き目の水晶玉。
大きさは50センチほどだろうか。
「さて、チェックはしとかないと・・・
はぁ・・・」
もちろん彼の観察だ。
ただ、それはただの観察ではない。
「ん・・・っ!」
気合いをこめ水晶に力を送る
「・・・ほほぅ。気付いたか。
しかも、"叶った"ことも把握したか。
これは予想外に早いな・・・」
私の得意とする"魔法"、"心境観察(マインドウォッチ)"
この役職も立場も
この能力のおかげだ。
一般人ではなかなか手に入らないものらしいのだが
生まれつき持っていたのだ。
俺の役職は上に指示された人物のことを観察すること。
そいつについての情報は上からあたえられるままに、だ。
「まったく。恵まれているというのかね?」
"じきに"は彼にとって
かなり身近なものだったようだ。
これからどうなるのだろうか。
少なくとも。
"裏方"では予想できないはずだ。
これはあいつからしてみれば
相当な動揺物だろう。
明日の定例会議を楽しみにできそうだった。
**
++
シューッ!
「うぉわっ」
スプリンクラーとは予想外だった。
一般の家にはないだろう。普通。
「待った!待って!
落ち着いてくれスプリンクラー!
俺は決して悪いやつでは・・・」
「何してんだど阿呆?
楽しいことやってるじゃないか」
鑑・・・
とめてくれたりとかしないのか?
「責任もてませんな~。
火遊びなんてどこの中学生だお前は」
酷いいわれようだ・・・ていうか中学生かよ。
「わかったよ!」
俺は再び"魔法"とやらを試してみた
「んッ!」
スプリンクラーは無事に止まった
「お次は・・・っと!」
床には絨毯。
これから水分を抜いてやる
「ほーぉ・・・
なんでお前"力"が使えるんだ?」
「なんでだろうねっ! はっ!」
窓の外へと
無重力になって浮いていた水を放つ
「へっへぇ~。
ふっしぎー。
お前本当に"向こう"から来たのか?」
相当不思議がっているようだが
顔はものすごい笑顔だぞ、少しは表情変えたらどうだ?
ともかく。変人扱いかと疑いたくなる発言に
「安心しろ。おれは普通だ。」
と、付け加えておくと。
「いってる意味がわからないところは
普通じゃないがな~」
と返された
ちょっとカチンときた
「余計なお世話だ莫迦野郎っ!」
鑑もこれには
「さっきの仕返しか?この野郎めっ」
多少怒ったようで
殴りかかった俺の腕をつかんで地面に押し倒し、
「うわっ何を・・・・」
背中に腕を回されて・・・・
俺は3秒で羽交い絞めにされた
「ふっふっふぅー。
舐めてもらっては困るよ?
新米よ」
まさか
「これも"力"っ!?」
鑑はケラケラ笑いながら
「そうさっ!何も超常現象だけが"力"じゃないぞ!」
身体能力を人間離れさせる
ってのか?
これは一本取られたな。勝負じゃないけど。
「お手上げだよ、鑑。」
いったん俺から降りたと思ったら
鑑は羽交い絞めからマウントに切り替えて
「そうはいかんざき!」
と。
どこのネタだ、おい。
すると鑑。
人差し指をビシッと向けて
「お前に食わせる晩飯はねぇっ!」
と。
ちょっとまて。
「や~め~て~く~れ~っ!
もう腹ペコで死にそうだ!
洒落にならん!
ま・じ・で!」
ほんとに。まじで。
いつから食ってないんだろう。
って昼からか。何たる成長期。
「ふっふっふ~
ならば誠意をみせよっ!」
ムカついたので殴ろうかと思ったよ。俺。
「く・・・・
わ・・・悪かったぜ。許せ。
俺がすべて・・・・・・・
す・・・べて・・・
悪かったです・・・」
イラッとしたよ。正直・・・
「しょうがないなぁ~
君は甘えんぼさんだねっ」
ねっとかいいながら人差し指でこっちをさしてくる。
何の冗談だ。笑えないぞ。そしてキモイぞ?
鑑は俺から降りると
「じゃ、飯とってくるよ~
まってろな~」
「おう!」
すごいな。俺。
物欲だけで生きているんじゃあるまいか?
さてと。これで問題は解決したのかな?
いや、帰る方法を探すってのもあるが
それはまだ明日からでもいい。
ならばすべて終わった・・・のか?
「おっと。居候さん。名前を聞いてないぞ?」
うげっ。そうだ。このままでは名無しのごんべじゃないか。
「うーん。そうだなぁ・・・
うーむ・・・・
"夢想霧徒(むそうきりと)"
そうだ。おれは"夢想霧徒"だっ
・・・うん・・・"夢想霧徒"だっ」
あれ。静かだな
「何だよそれ・・ふ・・・・はっはっ!
はははははっ!
偽名かっ!そりゃぁ無いぜ!
はっはははっ!
ふぅ。
わらえねぇよ」
ひとしきり笑ってため息と同時にいった。
いや、笑ったじゃねぇか。思いっきり。
「名前は記憶飛んでるんだよ。
勘弁してくれ。」
すると
「あー
記憶が飛ぶなんてのも聞いたなぁ」
もっと早く思い出して気を使ってくれよ・・・
「ははっ。いいじゃねぇか。名前。できただろ?
けっかおーらいっ!」
なんていう行き当たりばったりな結果オーライだ。
酷いにもほどがあるぞ。
「じゃ、飯とってくるよ~」
「まかせたぜ。鑑!」
なんで此処まで親しくなれたんだろう。
「まかせとけ!霧徒!」
似たような友が"元の世界"にいたのかな?
鑑がどたばたと走っていった。
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「笑いがとまらないな。
此処までことが思った通りだと」
「それはそうなるようにあなたがやってきたんでしょうも。
ならなかったら今頃泣いてるんじゃないですか?」
「余計なお世話だ。さて。これからのことはわかっているな?
お前たち。」
「「はっ」」
「並行世界なんて、俺は望まないんだよ。」
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