ある夜の事です。
ちよちゃんが眠っていると、誰かが肩を叩きました。
「…?」
目を開けると、そこにはかみさまが浮かんでいます。
かみさまはちよちゃんの手をとると、ふわりと優しく起こしました。
「なぁに?…ねむいよぅ」
かみさまはちょっとすまなさそうに、だけどしっかりとした力で、ちよちゃんをお布団の上に座らせました。
そして自分も布団の上におりました。
「どうしたの?」
かみさまはこえたずに、ただ静かに、ゆっくりと両腕をちよちゃんにのばしました。
ぎゅ…
かみさまはちよちゃんを抱きしめました。
「なぁに?くすぐったいよ…」ちよちゃんは眠気にぼやけた目をこすると、
何かを探すように首を振りました。
そんなちよちゃんの耳元で、かみさまがふいに呟きました。
「*****」
今にも寝てしまいそうだったちよちゃんは、その言葉を聞くか聞かないかのうちに、
お布団の上にこてんと横になってしまいました。
かみさまは、そんなちよちゃんにそっとお布団をかけました。
すると、寝息といっしょに、ちよちゃんの口からこんな言葉がこぼれました。
「どういたしまして…」
夜空にはとめどなく星が流れ、月の光がちよちゃんを照らしていました。
一人きりのお部屋には、ちよちゃんの寝息だけが聞こえます。
そしていつの間にか日付は変わり、
ちよちゃんの、
5才の誕生日がやってきたのでした。