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プロローグ

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 西暦2020年、1月。
人類史における重要な協定が、国連総会において決議された。
後に『地球停戦協定』と呼ばれる事となるそれは、地球におけるすべての地域紛争を禁止するという画期的なものだった。
当初反対の立場をとっていた中東諸国や独裁国家、軍事国家群さえも合意したその協定は、地上に初めての理想的な平和を確立させる事となった。

 かくして、人類は高い生活水準を手にし、豊かな生活を送るようになった。
軍事行動による利権の独占が不可能となった事から、宗教からは独占意識が薄れていき、その教義は寛容なものへと変貌していった。
全ての民が全ての事象を理解し、全てを受け入れる世界。
世界はようやく一つの形に成った……筈であった。

 しかし、戦の火が完全に消えたわけではなかった。
地上から喪われた国家間の『戦い』……。
それらは、現実世界を模した仮想の世界に場所を移しただけだったのだ。
誰も傷つけることなく、しかし確実な形で戦勝国に利権をもたらす『戦争』。
そこに、各国は己の持ちうる技術を投じ、覇権争いを繰り広げていた。

 平和を享受し続ける現実世界(シンジツ)。
戦火に飲み込まれる仮想世界(マボロシ)。
二つの世界の狭間で、少年は何を思うのか……。

 幻想(イツワリ)の空に、竜騎士(ドラグーン)は舞い上がる。
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