殴り、殴り、殴り続ける。
二度と幼女を視界に収められないように変態をボコボコにする。
「ふぅー危なかったわね。大丈夫かしら?」
最高の笑顔で幼女に振り向き、声をかける。
「……きもっ」
「え……?」
今、なんて言われたの?
「気持ち悪い」
「……」
う、嘘でしょ? この私が気持ち悪いですって!?
そんな……そんな事を言われるなんて――
「うわっ……笑ってるよ。マジあり得ないんだけど」
な、なんなのこの娘。
かなり言葉使いが酷いよ。
幼女なのに、こんな言葉を使うなんてショックだわ。
「ねぇ、あんた誰なの? 変な格好してるけど変態なの?」
「へ、変な格好って……」
これはマジカルお姉さんとして必要な格好で、決して変な格好では――
「残念ながらメグミ、その格好は変よ」
「さ、小夜子ちゃんまで!?」
小夜子ちゃんまで私のこの格好を変だって思ってたの!? そんなぁ……
「あんたの格好は正直どうでもいいけど、何者なの?」
「わ、私はね――マジカルお姉さんなのよ!」
ビシッと自己紹介をする。
実はこの瞬間が気持ちよかったりするのよね。
「……マジきもっ」
「っ!?」
また……また気持ち悪いって言われた!
多少の悪口は許せるけど、彼女の悪口は許せないわ。
彼女は小夜子ちゃんと違って、悪口に愛情が無いのよ。
「いまどきマジカルって――ぷっ♪」
は、初めてだわ。幼女に怒りを感じたのは。
こんな娘、助けなければ――
「で、でも……助けてくれたのは……ありがと」
「――――っ!?」
助けてよかった!
この娘を助けて本当によかった。
やっぱり正義の味方は最高だよね!
「な、何笑ってるのよ!」
「いやいや。笑ってなんかいないわよ♪」
「笑ってるじゃない!」
うんうん。このツンデレはなかなかいいかも。
「ちょっと聞いてるの?」
「聞いてるよ~♪」
君のツンデレボイスをたっぷりと聞いてるわよ。
「キモッ! あーきもい」
「ニヤニヤ」
もう、この娘の悪口は効かないわよ。
だって、この悪口の裏側には照れがあるっていうのが分かったから。
もうこの娘が喋るだけで、萌えちゃうわよね。
えへっ♪ えへへっ♪
「あーもう、帰る!」
「気を付けて帰るんだよー!」
大きく手を振りながら、彼女を見送る。
あーなんか新しい趣味に目覚めそうだったわ♪
あはっ♪