「初めて見た時から思ってたけど、あんたってバカなの?」
「な、なんですとぉーっ!?」
さ、ささ、小夜子ちゃんは一体私の何を見てバカって思ってるのかな?
「だってあんた極度の変態だし、マジカルお姉さんとか言ってるし、そんなのバカ以外
考えられないじゃない」
「は、はは……小夜子ちゃん。かなりキツイ事言うわね」
「でも、あんたはそれが気持ちいいんでしょ?」
「まぁね♪」
だって、幼女に罵倒されるってどんなご褒美ですかって感じですよ。
小夜子ちゃんみたいに可愛い幼女に罵倒されるなんて、それだけでご飯三杯はいけるわね。
いや、待て私。本当にご飯三杯しかいけないのか? 幼女に罵倒されるんだぞ。私ならもっと
深い所までいけるだろう!
ねぇ、そうでしょ?
「…………本気で気持ち悪い」
「あぁっ!? ご飯十杯はいけるわ♪」
なんて大声で叫んでしまったら、小夜子ちゃんに追い出されてしまいました。
一体何が気に入らなかったのだろうか?
私はただ純粋に自分の気持ちを表現しただけなのに、それだけなのに――
ああ。誰かこの悲しみを癒して欲しい。特に幼女に癒して欲しい。
「お姉ちゃん……どうかしたの?」
「……え?」
「お姉ちゃん。暗い顔してるけど、何か悲しい事でもあったの?」
「………………」
これは夢なのだろうか? 幼女が私に話しかけてきている。
そしてとても不安そうな表情で私の顔を見ている。
今日の私は物凄く運がいいのかもしれない。
小夜子ちゃんに罵倒され、幼女に話しかけられる。
これはどう考えても最高潮に運がいいわ。
「あ、あのね。お姉ちゃんは別に悲しい事なんて無いんだよ」
むしろ最高にパッピ―だよ!
「……ほんと?」
「ええっ!」
ああ、なんて可愛らしいのだろうか。クイっと小首を傾げる様は破壊力抜群である。
「じゃぁ、よかった……」
安心した表情を浮かべながら幼女は何処かへ行く。
もう彼女に会う事は無いのかもしれない。幼女との一期一会。大切にしよう。
そう思った私なのでした。
「ねぇ、おじちゃん大丈夫?」
な――っ!? 私が話を終わらせようとしたら、あの幼女がおっさんに話しかけてるじゃないか。
しかも、あのおっさんは――
「はぁ……あまり大丈夫じゃないかもしれないね。でも、お嬢ちゃんなら治せるかもしれない」
完全に変態じゃないか。
あれはマズイ。早くあの変態を始末しないと幼女が本気で危ない。
「どうすれば治るの……?」
「それはね――」
「ちょ―――――――――――――っと、待った――――っ!」
可憐な幼女に手を出そうとしている変態を始末するために割って入る。
「ちょっと、そこの変態! 気軽に幼女に話しかけてんじゃないわよ!」
「だ、誰なんだよ君はっ!」
「はっ! 変態に語る名前なんて無いわよ! てか早く死になさいよ!」
そこの優しくて可憐な幼女が穢れる前に死になさいよ。
「い、意味がわからな――ぷげらっ!?」
相手の言葉を遮って変態を始末する。
変態の言葉を聞くほど私は暇じゃないのよ。
「ふぅ……危ないところだったわね」
とびっきりの笑顔で幼女に振り向く。
「…………」
はぁ。これは完全に落ちたわね。この娘、絶対に私に恋をしてるわ。
「お嬢ちゃん。あまり変な人に話しかけたらダメだぞ♪」
優しく注意。十分怖い思いをしたんだから、これ以上怖い思いをする必要はないわね。
「でも、もし今度怖い思いをする事ああったら、お姉さんを呼んで。そうしたら助けにいくから」
幼女のピンチには必ず駆けつけるマジカルお姉さんだから。
「あ、うん。ありがとう」
そう言って極上の笑みを浮かべた天使は自分の家へと帰って行った。
――自宅に帰宅中の幼女――
「あの姉ちゃん。何者なんだろう? わけの分からない事言ってたし、変態さんなのかな?」
メグミへの好感度が上がるどころか、普通に変な人としての印象しか与える事が出来ていなかった。
実に残念である。