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第四話 飼い主の後悔

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第四話 飼い主の後悔

 俺は馬鹿だ。
 俺は馬鹿だ俺は馬鹿だ。
 俺は馬鹿だ俺は馬鹿だ俺は馬鹿だ。
 俺は馬鹿だ俺馬鹿は馬鹿だ俺は馬鹿だ俺は馬鹿だ。
 俺は馬鹿馬鹿は俺俺は馬鹿だ俺は馬鹿だ俺は馬鹿馬鹿は俺。
 馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿
馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿
馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿!

 ――こんなに死にたくなったのは、生まれて始めてだし、これからも絶対ない。
 絶対、ない。

 今日は何にも入ってこなかった。
 先生の話も、友達の話も、校内放送も、工事の音も。
 俺の体は、全てを遮断した。
 俺には何も入ってこない。
 俺はれいんの中に――
 ――思い出して、頭を押さえた。
 やってしまった!
 取り返しの付かない、ことを……
 …でも……
 …なんとなく……
 …分かってたんじゃないか?
 こうなるって。
 我慢出来るわけ、ないって。

「俺は長身の女が好き」

「巨乳が好き」

「おっとりしたタイプが好き」

 ――みんな、作り物だ!
 嘘で作り上げて……そういう風に仕立て上げただけだ。
 それで自分を誤魔化せると……
 思ってた。
 脆かった。
 全部、崩れた。
 一気に。
 簡単に。

 どうしたらいいんだ?
 れいんはどう思ってるんだ? 今朝見た感じじゃ、あまり気にしてないっぽかったけど
……
 そして、これは怖くて考えるのを止めていたけど、そういうわけにはいかないんじゃな
いだろうか、いつまでもは。
 俺は、避妊をしなかった。
 もし――
 ――もし。
 子供が出来てたら、どうしよう。
 どうしよう。
 どうしようもねえよなあ。
 親になるのか?
 俺が?
 なれる?
 なれるわけねえじゃん!
 なれるわけ――ない。
 よなあ。

 公園にれいんがいた。
 どうしようか、迷った。
 仕方ないので、声を掛けた。
 れいんは足を引きずりながらも明るい表情だった。
 俺は、それを見て悪態をついた。
「てめえ、なんでそんな元気な顔してられんだよ」
 八つ当たりだ。
「元気じゃないよ」
「元気だろうが」
「今だってあそこ痛いの我慢してるんだよ 誰 か さ ん の せ い で 」
 誰かさん。
 誰かさん……
 誰かさん――
 ――俺だな。
「ごめんなさい」
 俺は呟いた。泣きそうだった。
「…でも、誰でも通る道なんでしょ?」
「…………」
「あたしは、まだよかったな」
「…よかった?」
「雄一が相手で」
「え」
「…他の人よりは、ね」
「…なあ」
「何?」
「これは、まだ、分からないことなんだけど……もし、妊娠してたら……」
 その先が、言えなかった。
 何も考えていない。考えられる状態じゃなかった。
 だから、れいんを見た。
 れいんの顔を見た。
「…二人で……育てよう」
 れいんの顔を見続けた。
 れいんは顔を逸らした。
 そして逸らしながら言った。小さく「うん」と。
 俺は、今度こそ泣いてしまった。
 俺は、れいんが好きになった。
4

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