キュピーン!!
外を歩いていると、ふと嫌な予感が頭を過った。
何かとてつもなく嫌な感じ。
愛しの洋くんに何かが起きている!?
そんな恐怖心を振り払いながら、家に帰るとそこには――
「ふふっ♪ どうですかわたしの膝枕は」
「あ、うん……」
「うふふっ♪」
なんということでしょう。家に帰るとそこには、女狐がいました。
あのクソ女。私の洋くんに手を出すとは、やってくれるじゃない。
しかも洋くんも洋くんで、何を照れているのよ!?
あれくらいなら、私がいつでもしてあげるっていうのに。
いや、むしろあれ以上の事だってしてあげるのに!
「洋くん! 何をしてるのよ? それに、そこの女狐も!」
勢いよく二人の所に突撃をする。
これ以上あの女の愚行を見過ごすなんて出来ないからね。
洋くんは私の物なんだから!
「あらあらこれは、淫乱なお姉さんじゃないですか」
「誰が淫乱よっ!?」
私の行動は愛のある行動であって、決して変態でも淫乱でもないわ!
「愛って便利な言葉ですね」
バカにしたような顔で私に話かける女狐。
ほんっとにムカつく女ね。
「大体、あんたは私の洋くんに何の用事なのよ?」
「あら? 用事が無いと会ってはいけないのでしょうか?」
「当たり前でしょ! むしろ用事があっても会うな!」
あんたは洋くんに何をするか分かったもんじゃないからね。
下手したら、そのまま洋くんを拉致して監禁するかもしれないし。
そんな羨ましい事、絶対にさせないんだから。
「本当に我儘で酷い人だわ。こんなのが姉だなんて、洋ちゃんも可哀想だわ」
「な――っ!?」
そんなわけないでしょ! 洋くんは毎日喜んでいるに決まってるでしょ!
だって、嬉し恥ずかしのエッチなハプニングがあるんだよ。
エロ真っ盛りの洋くんが喜ばないはずがないじゃない!
「はぁ……ほんと洋ちゃんが可哀想だわ。ねぇ洋ちゃん。もしあの女が嫌になったら、わたしの
所に来てもいいんだからね。わたしが洋ちゃんのお姉ちゃんになってあげるわ」
「恵美姉ちゃん……」
こ、この女狐めが……
ここにきてやっと、名前を呼ばれるような空気の薄い女のくせに洋くんを弟にするですって!?
ただのご近所さんである女に、そんなこと絶対にさせないわよ!
洋くんは弟だから価値があるのよ!
もし弟じゃなくなったら洋くんは――
考えるだけでも恐ろしいわね。
洋くんは誰にも渡さないわ。
洋くんは私の可愛い、可愛い弟なのよ!
「まったく、どうして社会はこの変態を野放しにするんでしょうかね……」
そんなの決まってるじゃない。
社会が私を認めているからじゃない。それ以外あり得ないわよ。
「くだらない愚痴を言うだけなら帰りなさい」
そして二度と洋くんと私の前に姿を現さないで。
「そうですね。邪魔者が来てしまいましたし、洋ちゃんも気まずいでしょう。続きはまた今度に
しましょうね♪」
そう言って、洋くんに投げキッスをする女狐。
「させるか!」
すぐさま間にはいって妨害をする。
ふぅ、危ない、危ない。もう少しで洋くんが穢される所だったわ。
洋くんを穢すのは私だけなのにね。
誰にも邪魔はさせないわ。
最後まで洋くんの貞操は守ってあげましょう。
私が奪うその時まで。
せいぜい足掻きなさい女狐さん♪