「えー本日は佳奈の異常な性癖について話し合いたいと思います」
「おー」
「おー。じゃないわよ! これは一体何なのよ!」
急に私の前に現れたと思ったら、いきなりロープで縛り出した二人。
そして、先ほどの言葉。
一体、何をしようとしてるのよ。
「皆、分かってると思うけど、佳奈の性癖は異常です」
「誰に向かって喋ってるのよ」
「それは画面の向こう側の人じゃない?」
「聞かれても分からないわよ!」
てか、画面の向こう側って何処よ? あと、あんたのその喋り方気持ち悪いわよ。
「それでは恵美くん。この変態の異常さについて報告してくれたまえ」
「あいあいさー」
愛穂に言われて、懐から紙を取り出す女狐。つーか、あんたのそのキャラもおかしいわよ。
「えーでは、変態クソビッチの佳奈さんですが……」
「誰がクソビッチか!」
「変態は修正しないのね」
そこは自覚してるからね。でも、クソビッチだけは許さないわよ。
私は純愛なの。ちょっと変態的な純愛なのよ。
「はいはい、変態さんですが――彼女は実の弟の脱ぎたてのパンツの匂いを嗅いだり、味を
確かめたりしているんです」
「あーこれはキツイわね」
「どこがよ? こんなの大抵の姉はしてるわよ!」
「はい、たった今全世界のお姉ちゃんに喧嘩を売りましたね」
何言ってるのよ。こんなのは普通よね?
少なくとも私は、そう思っているのだけれど……
「この程度なら、まだ更生の余地があったのですが――」
「何処に更生の余地があるのよ……」
「よりにもよってこの変態さんは、洋ちゃんが使った箸を洗う前に舐めているんです!」
「これはアタシでも引くわ……」
「何よ! 私はただ洋くんの箸を舐めて洗ってあげてるだけじゃない! どこもおかしくないわよ!」
ただ単に水か唾液かの違いでしかないじゃない。
「正直、羨ましすぎです!」
「あんたも十分酷いわ。特に頭が……」
「別にコイツを擁護するわけじゃないけど、あんたも十分酷いからね」
「はぁ? アタシの何処が酷いっていうのよ?」
え……? もしかして自覚ないの?
「あのね、人をロープで縛っている時点で十分おかしいからね。SMプレイは一人でやってなさいよ」
「仕方ないじゃない。あんたの場合はこうでもしないと面倒なんだもん」
「な――っ!?」
こ、この女は……面倒ってだけで人を縛るの?
「はいはい、喧嘩は止めて下さい。今は佳奈さんの変態性について話しているんですよ」
「う……っ」
「そうね」
今は争っている場合じゃないのね。今は私の性癖について――――
「――ってバカ! 何で私の性癖について話し合わないといけないのよ? 意味が分かんないわよ!」
それに人の趣味に口を出すなんて常識外れよ。
「あなたに常識うんぬんは言われたくないですけど、理由は簡単ですよ」
「何?」
「暇でしたから♪」
「はぁ!?」
何? 何なの、その理由は! 明らかに理由としておかしいわよね!?
「だって洋がいなくて暇だし、あんたを弄って遊ぼうかと」
鬼だ。ここに鬼がいる。
「さて、十分楽しんだ事ですし帰りましょうかね」
「そうね。そろそろ帰りましょう」
帰るための準備をする二人。
え……? ちょっと待って。この流れはマズイわ。
「ちょ、ちょっと! 帰る前にこのロープを――」
「じゃあね」
「ではまた」
「おぉい!」
私を放置して帰る二人。
また、まただ。またロープで縛られたまま一人にされた。
うぅ……このままでどうしろというのよ!
あーもう!
誰か助けて――――っ!