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監禁?

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 やってしまった。
 ついにやってしまった。
 洋くんの監禁。正直、これだけはしないだろうと思っていたのに……
 いや~愛情って恐いわね。

「む~! む~っ!」
「あははっ♪ 大丈夫だよ洋くん。別に酷いことをするわけじゃないんだから」
 むしろ洋くんにとっては嬉しいことかもよ?
 まぁ、私にとっては最高に嬉しいことだけどね!
 さてさて、洋くんの服を脱ぎ脱ぎさせましょうかね~♪
「はぁ……はぁ……洋くん」
「む゛~っ!!」
 縛られてるのにジタバタと暴れる洋くん。
 ははっ♪ 暴れても無駄なのにね♪
 甘美で素敵な時間。それが今から始まるの――ね゛っ!?

「ちょ――な、何で女狐がここにいるのよ!?」
「何でって、わたしは洋ちゃんの居るところなら、何処にでも現れますよ」
「何処にでもって……あんたは虫か!」
「む、虫って……それは酷過ぎますよ」
 どこが酷いのよ。あんたなんて虫で十分じゃない。てか、湧いて出てくるっていうの
なら普通の虫じゃなくて、あの黒くてテカテカとしてて、カサカサ動く人類の敵と同じよ!
「酷く不愉快な物に例えられた気がしますね。
 まぁ、今はそんなことは無視しておいて――」
「あぁ、虫だけに?」
「面白くともなんともないので黙ってて下さい」
 ――ぐっ、ちょっとした冗談じゃない。それなのにそこまで言う必要はないんじゃないの。
「あなたを逮捕しに来ました」
「は? 逮捕……?」
「はい、逮捕です」
 え? な、何で? 何で私が逮捕されるのよ?
 私は何もしてないのよ。それなのに逮捕するっておかしくない?
 ははーん。分かったわ。
「私を逮捕するとか適当な理由をつけて洋くんに会いに来たのね。そこまでしないと会いに
これないなんて情けないわね」
 会いに来たいなら正面から堂々と来ればいいのに。
「……あなたのバカさ加減には呆れますね。私は本気であなたを逮捕しに来たんですよ」
「な、何でよ――!?」
「自覚がないとは恐ろしいですね。人を監禁しておいて、逮捕されないとでも思っているのですか?」
「こ、これは――その、洋くんは身内だし……」
「身内とか関係ありませんから。とにかく、あなたを逮捕します」
 女狐恵美の手に見えるのは私を拘束するための手錠。
 マズイ……こんなところで捕まるのは非常にマズイ。なんとかしなくては!
「ちょ、ちょっと待って! 逮捕するとか言ってるけど、あんたにその権利があるの?」
 あんたは警察じゃないでしょ。そんなあんたに私を捕まえる権利なんて……
「それは大丈夫ですよ。あなたを確保したのに、そのまま警察署に連行しますから」
「――ぐっ!」
 そうきたか。実に頭のいい作戦じゃない。
 このままだと私は、確実にコイツに捕まってしまう。
 ……仕方ない。あまり使いたくはなかったけど、最終手段にでるか。
「恵美さんっ!」
「な、なんですか……!?」
 すぅ……はぁ。深呼吸をして――

「すいっませんでした! 捕まえるのは勘弁して下さい!」
 思いっきり地面に頭を叩きつけて土下座をする。
 つい最近、愛穂にしたような気がするけど、まさかコイツにまで土下座をすることになるとは。
 しかし嫌がっている場合じゃない!
「何でもしますので、許して下さい!」
「あはっ♪ お断りします♪」
「な――っ!?」
 会心の土下座が効いてない……だと!?
「大人しく捕まって下さいね♪」
 ジリジリと近づいてくる笑顔の執行者。あぁ、私はこんな奴に捕まって洋くんと離ればなれになるのね。
 どうしてこんなことになったの!? どうして神様はこんなにも残酷なの!?
 あぁ、ああ……
「逮捕です♪」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 こうして私は手錠をかけられ捕まった。


「――て、夢を見たんだけど……」
「だからなんなんですか。あと、何故それをわたしに言うんですか?」
「だって、あんたが私を捕まえたし……」
「知りませんよ。てか、あなたの夢の中のわたし、少々性格が酷くないですか?」
「……ん? そんなものじゃない?」
「違います! 訂正を要求します!」
「い・や」
「嫌じゃありませんよ!」

 ぎゃあぎゃあと騒ぐ二人を尻目に愛穂は――
「まさかアタシの出番がないとは……」
 一人、出番がないことに落ち込んでいた。
「ま、まぁいいわ。そんなことより愛穂お姉さんから皆に一つだけ言っておくわね。監禁、ダメ絶対!」
8

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