「冴草君、いつもありがとうね」
 ザマッチの母ちゃんは俺が届けた息子のノートへ丁寧に目を通した。
 それから新しいノートを数冊出してきて俺に手渡す。
「いつまで続くのかしらね、これ。あの子は星の調書って言ってるけれど……」
 そんなこと俺にもさっぱりだ。
 どうして、また何のために書き続けるのか全く不明。
 あのバカの脳みそが正常に稼働しない限り一生終ないだろう。
「こればっかりは医者でも解らないらしいものね。なにせ頭のことですから。ふふふ」
 笑っているあたり母ちゃんは既に息子の現状へ開き直っているようだ。
 家族ともなるとそんなものなんだな。
 この家の長男は日頃変人や変態の類がなす奇行を働いている。
 しかし家族は誰一人そのことを嘆いてはいない様子だ。
 サッパリしているというか、潔いというか。そんなもんなのか?
 ま、俺はというと、どの道奴とは単なる友達付きあいしかしないつもりだ。
 こうして田舎へノートを運んでやるのもただの義理。
 妹とのセックスがなけりゃ、誰がこんな辺鄙な所へわざわざ。
 それにはたから見ているだけなら、ザマッチの存在は大学生活で美味いつまみになる。
 退屈しない。卒業まで精々面白がらせてもらうさ。
 それで充分なんだよ。そう、それでいいんだ。
 親切とか人助けとか、俺は正直どうでもいい。
 けどほら、俺って見た感じ良い人でもてるから色々断れないんだよな。
 苦労する。やれやれだ。
 ……。
「冴草君、来週に検診のお知らせ送るわね。赤色で。その時はまたあの子をお願い」
「あ、ええ。構いませんよ。お安い御用で」
 こうして俺はザマッチの定期検診へ付き合うことを約束した。