Neetel Inside ニートノベル
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 昼休みに、一本の電話が入った。電話が振動するなんて、一週間に一回あればいいほうな英正は、ポケットの中で暴れる携帯電話に思いを馳せた。が、ディスプレイを見てすぐに嘆息した。

「もしもし! 高校生オッス!!」
「あー。どうも、お姉さん」

 ディスプレイに映った文字は『図書館』。電話の相手は受付のお姉さん。彼女は図書館内の電話を私物化している。よってこの電話も図書館からかかってきている。傍迷惑なことだ。

「突然、って言ってもいつものことだケド、今日空いてる?」

 今日は昨日に引き続き生徒会の仕事がある。でも昨日程度なら五時前には終わるだろう。

「五時過ぎなら大丈夫です」

 なのでそう返事をした。

「上等上等! いやー実はさー、入荷した本が溜りに溜まってて。高校生に手伝って欲しいんだよねー」

 いつものことだ。結局半分以上は英正がやることになるのだが。まあ不満は特にないけど。

「分かりました。じゃあ、後で行きます」
「ありがと!! じゃあ後で!」





 ――そして放課後、予定通り生徒会の仕事が始まった。 

「日向野……先輩、時間ありますか?」
 生徒会室での作業中、若干あどけなさが残るポニーテールの少女が英正にそう言った。
「あるよな?」
 そして、耳元でボソっとそう呟いた。
「あの、上座さん。ちょっと今日は図書館に用事が……」
「あ?」
 実際彼女はそう声には出していない。が、明らかにそういったニュアンスの顔をした。
「あ、大丈夫です! じゃあ、私待ちますから!!」
 しかしすぐに笑顔になり、そう言う。

 先日、彼女に必殺の『ダイナマイト・キック』を背後から喰らってから、主従関係が出来上がっていた。あの場は何とか逃げることに成功したが、今日はもう無理だろう。絶対逃げられない。

「待っててやるよ。ずっとな……」
 そして、耳元で呟く。黒い、黒いよこの子。空って名前に合ってないよ。



「日向野君と上座さんがあんなに仲良く……くそう、くそう……」
「ん、どうした大宅?」
「えっ!? いや……えっと……」





 そんなこんなで生徒会の仕事は終わり、英正は約束通り図書館へと向かった。上座とはその仕事が終わった後メールで連絡をとり会うことにした。


       

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