Neetel Inside ニートノベル
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俺は、あれから放課後に笹野の車を待つ間の少ない時間の間で笹野と話すのが日課になっていた。
それに、風邪も治ったしいい感じだ。
今日も、放課後笹野と話をしていた。
「なぁ、笹野ってゲームとかやる?」
「ゲーム?やらないわよ、そんなの」
「やんねーのか・・・ゲーセン行ったことは?」
「ゲーセン?」
「ゲームセンター、ゲームをやるところ」
「へー」
笹野は、ゲーセンすら知らないようだ。
全世界のお嬢様は皆こうなのかね。
まぁ、ゲーセンがないところは仕方ないか・・・。って俺は、何を考えているんだろうな。
「へー、興味なさそうだな」
「そうでもないわよ」
「興味あんのか?」
「少しね」
「なら、今度行ってみるか?放課後に」
「放課後?別にかまわないわよ」
「おぉ、わかった。それで、いつにする?」
「明日でいいわ」
「わかった。絶対楽しいと思うぜ」
「そんなのは、わからないわよ」
「そうか・・・なるべくでかいゲーセン選んどく」
「そうしてちょうだい。そしたら、明日は迎えはいらないわね」
「ん、迎えか。そうだな、ゲーセンよったら俺が家まで送るよ」
「いらないわ」
「あ、そう」
「お、迎えきたみたいだぞ」
「そうみたいね、それじゃ」
「じゃなー」
俺は、ふと思ってしまった。
笹野を遊びに誘うってそれに、一緒に放課後ゲーセンか・・・。
俺、結構すごいことしたな・・・。
明日が心配だ。
「ははっ」
家に帰るなり、すぐに俺は寝た。

朝、俺は少し速めに起き財布を見た。
「まだ・・・大丈夫だな、うん」
正直、金欠に近かった。
鈴木と秋葉に行ったときに金は結構使ってしまったからだ。
しかし、上京して家賃、生活費、小遣い等は、まとめて銀行に来るようになっている。
家賃は、そこから引き落としだが。
俺は、生活費を少しづつ貯金している。
て、いってもまだ2週間しか東京に来て経ってないけど。
俺は、上京してきてまず考えたのが金の確保だ。
生活は今のところギリギリだ。
生活費の三分の一は小遣いに当てているからだ。
財布には、二千円・・・、しかも貴重な二千円札だけ。
俺は、朝コンビニに行きATMで金を引き落としてから学校に向かった。
今月の残りは昼飯抜きとなってしまった。

放課後になり俺は笹野と一緒に駅に向かった。
「笹野、おまえって電車の乗り方わかるよな?」
「当たり前でしょ、それくらい常識よ」
「なら、いいけど」
駅に着いた。俺は、定期を持っているのですんなりいけるのだが・・・。
「おい、笹野。切符の買い方知らないだろ」
「知ってるわよ、それくらい」
「うそつけ。証拠に今かってみせろよ」
そういうと、笹野はまっすぐにホームを抜けようとした。
「おい、まて!お前どこ行くきだ」
「どこって、電車に乗るんでしょ?」
「電車に乗るには切符が必要だ」
「だから、切符って電車の中で買うんじゃないの?」
「ない、言ってんだよ!それは、ここで買うんだよ」
「そうなの。知らなかったわ」
「やっぱ、知らなかったか。見栄を張るから」
「うるさいわね、さっさと買ってきなさいよ」
「はぁ~、お前もこい。見せてやるよ」
俺は、笹野にチケットの買い方を教え、電車に乗り込んだ。
しかし、ゲーセンにつくなり更なる問題が発生した。
「よし、ついたか」
「ここが、ゲーセン」
「そうだ、入ろうぜ」
「えぇ、」
俺は、笹野を連れてゲーセンに入った。
「あ、そうだ笹野。お前、小銭持ってるよな?」
「小銭?」
「まさか、・・・なら、札は持ってるよな?」
「当たり前じゃない、」
「よかった。千円札持ってる?」
「千円札?」
「まさか!お前、札って全部一万円札じゃないよな?」
「えぇ、そうよ。みる?」
俺は、笹野の財布を見てかなり驚いた。いや、かなりどころの騒ぎではない。
なんと、笹野の財布には万札しか入ってなかった。
それに、軽く十万は超えている。
さらに、訳のわからんカードがいっぱいだった。
「もう、わかった。今日は俺のおごりでいいよ」
「おごり。いいわね、それ」
「この・・・はぁー」
俺は、財布から、何千か出し両替機で両替した。
「さて、何からやろうかね」
「何でもいいわよ」
「そうか・・・なら」
俺は、ガンジューティングを選んだ。
ゲーセン初心者には難しいだろうがまぁ、いいだろう。
これなら、多少は楽しめるかな。
「よし、やるぞ」
「えぇ、いいわよ」
俺は、笹野にやり方を説明した。
それから、プレイをはじめた。
「当たらないわね」
「まぁ、初めてだし少しづつ慣れようぜ」
俺は、笹野が死んだら金をいれ笹野を復活させてやった。
ステージ5くらいで俺が死んだのでここで一旦シューティングはやめた。
「んじゃ、つぎあれやるか」
俺は、太鼓の達人を選んだ。
これは、2回ほどプレイし次にレースゲーム。
色々やった。
そして、やるたびに俺の財布が軽くなっていく。
「ねぇ、あれはなに?」
「あれ?」
笹野は、クレーンゲームを指差した。
「クレーンか、やってみるか?」
「そうね、やりましょう」
「これで、いいか」
俺は、ちょっと大きめの人形が入ったクレーンを選んだ。
「かわいい」
「えっ?」
「な、なんでもないわよ。さ、やるわよ。やり方を教えなさい」
俺は、笹野がかわいい、といったことに多少驚いた。
「笹野って案外可愛いとこあるな」
「な・・・な、・・・」
スネを思い切り蹴られた。ものすごく痛い。
「つっ~~~~」
「さっさと、やるわよ」
「あ、あぁ」
俺は、笹野にやり方を教え見本を見せた。
「わかったか?」
「えぇ、大体は」
俺は、わざと人形を取りにいかなかった。
簡単に取ってしまっては面白みがないからだ。
「いくわよ」
笹野は、1回目は失敗した。
「お金」
俺は、五百円をいれ三回できるようにした。
笹野は、三回とも失敗。
「お金」
「はいはい」
笹野はその後も失敗を繰り返し、そのたびに金といってどんどんクレーンに金をつぎ込んでいく。
あぁ、俺の財布がどんどん軽く・・・。
しまいには。
「お金」
「すまん」
「なに?」
「もう、お金がありません」
「はっ!?なによ、それ」
「いや、だから」
「両替してくればいいじゃない」
「だから、金がもうないの」
「役に立たないわね」
「ははっ、」
役に立たないとか・・・なんか、最悪。
「笹野、この人形ほしいの?」
「別にほしくないわよ」
そういいながら、笹野は人形をじっと見つめる。
「ははっ、そうか。俺が取ってやるよ」
「だから、いらないって」
「まぁまぁ、いいじゃないか」
「でも、あなたお金がないって」
「一回分だけ実は残してあったりして」
俺は、ポケットから一回分の小銭を取り出し、難なく人形を手に入れた。
「ほい、これ」
「いらないわよ、別に」
「そうか、なら俺が貰おうっと」
「あ、・・・やっぱり、私が貰うわ。あなた、私のためにとったんでしょ」
そういいながら、笹野は強引に俺から人形を奪い取った。
俺達は、金もなくなり家に帰ることにした。
「笹野、送ってくぜ」
俺、ゲーセンを出てすぐのところで笹野に話しかけた。
「いらないわよ」
「でも、暗いしよ」
今は、七時を回ったところだ。
「でもよ」
「いらないわ、ほら」
笹野の目の前にあの黒いながい車が止まった。
「迎えをよんだの、それじゃ」
「あぁ、じゃあな」
「えぇ、すこし楽しかったわ」
「お、・・・おう」
笹野が素直に感想を述べたことにびっくりした。
車が行ったところで俺も帰ることにした。
「あいつ、結構いいやつだな」
そんなことを思い家に帰って財布を取り出す。
「あ、空じゃん・・・とほほほ。これから、五日間節約だな」
もうすこしで、五月になろうとしていた。

       

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