Neetel Inside ニートノベル
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「みぎ・・・うあっ!」
転んじまった。
俺は今猛ダッシュで学校に向かっている。
学校に遅刻してしまいそうだからだ。
なぜ、そうなったか・・・それは昨日の夜にさかのぼる。

「はぁー、笹野とゲーセンに行ったのが二日前、あと三日は節約。いや、飯全部抜きの断食か・・・・とほほほ」
俺は、笹野とゲーセンに行ったその日から昼飯を抜こうと考えたが。やっぱり夕飯を抜こうと考えた。
しかし、昼飯を今までどうりに食べていたらたったの二日で金が財布から消えた。
財布の中にはたったの三百円。
「俺・・・生きていけるか?」
餓死してしまうのか・・・その可能性は薄いな、うん。
「気にせずに明日考えよう」
しかし深夜三時くらいまで目が見開かれたまま眠れずそのあと寝た。
起きたのが五時。
それから約二時間半起きたまま動かなかった。
その結果が、遅刻。
そんなことは今はどうでもいい。
とにかく間に合わなければ・・・。
「くそっ!あともうちょいなのに・・・運動しとくんだった」
俺は、小学校野球、中学校サッカーの技術部と以外にもスポーツ少年だった。途中、文科系だが。
しかし、運動しなくなってからどんどん太っていって血液検査の中性脂肪にひっかかった。
それ以降、痩せようと思っていたから運動し始め今の、腹・・痩せているって言ったら変だが普通くらいまで痩せた。
あのときは、がんばった。
そう、頑張った。だから今回も!
「あぶない!」
「へっ?・・・うおっ」
また、転ぶ。誰かとぶつかってしまった。
周りが見えてなかったんだろう。曲がろうと勢いつけたものの真正面から来た人も同じ方向に曲がり、さらに足がつっかかりそのまま衝突。
最近ついていないのかもしれない。
「いってーっと・・・大丈夫か?」
ぶつかったのは俺と同じ高校の制服を着た女子だった。
「いったーい。もう、気をつけてよ!」
「わ、わりぃ」
俺は、手を差し伸べた。
その手をとって立ち上がった少女はびっくりした顔で悲鳴を上げる。
「時間がー!!!!」
「な、なんだよ」
「ま、ま、ま、間に合わない」
「はぁ?まにあわ・・・はっ」
俺は携帯の時計を見る。
時間は八時十分を回っている。
学校は、八時十五分まで・・・。
ここから頑張って走っても十分くらい。
ぶつかって、倒れて注意されて手を差し伸べ携帯を見るの二、三分。
「もう、無理か」
「諦めないわ」
「はっ!?」
「ダッシュ!」
「あ、おい」
ぶつかってしまった少女は走り去っていってしまった。
「もう、間に合わないし・・・そうだな。運動ついでに軽く流しながら走ろう」
走ろうとすると何かを踏んでしまいそうになる。
「なんだ、これ」
落としていたものを取ってみるとそれは、携帯だった。
「おとしたのか・・・でもどうして落としたんだ?」
俺は、携帯は右前のポケットに入れ、財布は右後ろのポケットにいれ、鍵は左前のポケットだ。
ぶちかっても俺は携帯は落とさなかった。
なら、どうして・・・考えるのをやめた。
結果は見えている。
女子はよくバックに入れるから、バックの横のポケット。
「あそこに入れてたパターンだな」
名前ぐらいは知ってれば探すの簡単そうだけど、人のを見るのはだめだし。
さっきの少女のものじゃない可能性は薄い。
したがって、これをもったままダッシュし学校にいって鈴木、桐谷らと一緒に探せば早い。
「いまは、いそごう」
ダッシュで学校に向かった。

「校門は当然閉まってるか」
時間は八時二十分を待っている。あの少女は間に合ったようだ。
俺は、五分遅刻。
運良く教師がいない。今がチャンス。
すばやく校門を飛び越える。
「スタッなんつってな。さて、行くか」
昇降口に向かった。
HRが終わった頃に教室に入り、席につく。
「おまえ、どうして遅れたわけ?」
「あ、あぁ。女の子とぶつかってあとはゆっくりきたから」
「意味がわかんねーよ」
そこに、いつものように鈴木が混じる。
そこで、俺は携帯の持ち主を一緒に探そうと考えていたので拾った携帯をだす。
「あのさ、これなんだけ・・」
「あぁぁぁぁあああぁぁぁあぁぁぁ!!!」
叫び声が教室中に響く。
「うるさっ!」
「なんで私の携帯持ってるの?」
「えっ、覚えてらっしゃらない?」
「覚えてる?あ、あのときの人」
「そう、まさか同じクラスだとは」
「そうだね」
「なんだ、知り合い?」
「あ、あぁ実は・・・・」
俺は、事情をおおざっぱに二人に説明した。
「なるほど」
「大変だね」
「だろ」
「ねぇねぇ、それより私の携帯返してよ」
「わりぃ」
俺は、手元にあった携帯を少女に渡した。
「それより、自己紹介してないよね。私は、原口 泰子(はらぐち たいこ)よろしく」
「俺は、赤城 龍刀よろしく」
それに続いて、二人も自己紹介する。
「へー、鈴木くんって有名だよね」
「そう?」
そこからは、他愛もない話で少し盛り上がり
「そういえば、原口って・・・」
「赤城くん、苗字で呼ばないでくれる」
「あぁ、・・・なら泰子か」
「うん、私も龍刀くんでいい?」
「あぁ、好きに呼べばいいさ」
「リュウってやっぱ少し抜けてるよな、鈴木」
「そうだなー、確かに」
「なんだよっ」
「リュウか、リュウくんって呼ぶね」
「あ、あぁ」
それからは、他愛もない話で盛り上がった。
原口 泰子、泰子は元気な女の子だ。
そして、俺はお金がピンチ過ぎて断食をする元気のない男の子・・・。
ま逆だ・・・俺ってアホだろう。多分とかじゃなくて絶対。
だって、こんなこと考えてるから・・・。
つーか、こんなくだらないことを考えないと腹が減って死にそう。
やべー。

昼、飯のない昼。鈴木、桐谷は目の前で食べ物を食べている。
「おまえ、食わないの?」
「えっ・・・だ、ダイエットしてんだ」
「うそつけ」
「ちっ、」
「ちっってな」
「それより、何で食わないの?」
「実は今金がピンチなんだ」
「親に弁当作ってもらえばいいじゃん」
「いや、ほら。俺一人暮らしだし」
「そういえば、そうだったな」
「だろ・・・とほほ」
「ま、しかたないさ」
「だな・・・」
それからは、何度も腹がなりそうだったがこらえた。
授業はあまり頭に入ってこなかった。

放課後は、いつものように笹野と適当にしゃべって終わる。
たった、一日が長く感じた。
辛い・・そういえば、相対性理論?とかいうので辛いことは長く感じ、楽しいことは短く感じるとかあったな。
まさに、そうだな。
今までがものすごく楽しかったってわけでもないが、今よりはましな生活だ。
夜、結局眠れなかった。


       

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