Neetel Inside ニートノベル
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「やふーーーーー」
俺は、部屋の中で歓声をあげた。
いつもより相当早く起きたわけでもないが結構早く起きた。
なぜか、理由はただ一つだ。
腹が減っているから、それ以外に何があるのか。
いや、今の俺には何もない。
さて、今日はとうとう四月も終わり・・・天国の月というべき五月。
簡単に言うと金がくる。
なので、朝一にATMに向かおうと思い早く起きたということだ。
「いざ、出陣!」
俺は、制服に着替えた後勢い良く家を飛び出したが、鍵をかけ忘れて一旦戻った。
「さいさき悪くね?嫌な予感が」
俺は、ATMに・・・楽園への扉に向かった。

「とうとう、三日ぶりの飯だ・・・ふふふふ」
さてと、まずはカード投入。そしてパスをうって、金はたぶん数十万くらい入ってるはずだ・・・。
「あれ、・・・・・」
言葉が出ない。
「前回と金額変わってないじゃん・・・・おかしいな・・おかしいーなー」
俺はそこに倒れる。腕を突き土下座一歩手前の状態になる。
「なん・・で・・・・。はっ、そうか。俺の生活費が入ってくるのは親の給料日。つまり、毎月五日・・・ということは、あと五日は断食生活・・ぐはっ」
俺は打ちのめされた。あと、五日の断食という名の魔王に。
「学校、いこ」
俺は、お腹がなりつづけても無視して歩いた。

学校到着。そして、いきなりの席替え。
HRの時間教師がいきなり席替えをしようといってきた。
席替えには軽く俺は賛成だ。絶対年に一回はあるものだしな。
やり方はいたって簡単。ドカンに紙が入っており数字を席と照らし合わせるだけの単純さだ。
ていうか、席替えに単純とかあるのか・・・とか、考えながら空腹を紛らわせるしかない俺はバカだ。
さて、肝心の席だが・・・窓際後方二番目というなかなかのポジションを獲得した。
あれ、これハルヒ的な感じになってね?とか、考えてしまう。腹が減ってるからか。
ちがうな、いつものことだ。
ハルヒな感じぃになったー
なんと、俺の後ろは笹野だった。
「よう、笹野。こんどは席近いな・・・」
「・・・」
無視ですか。別にいいけど。さて次は前か。
「やほー、リュウくん。席近いねー」
「おう、泰子だったか。よろしくな」
「こっちこそ、よろしく」
それから、泰子と少ししゃべり次に右隣を確認した。窓際だから右側しかいないが。
さてと、誰かな。
「はじめましてだね」
「ん、おう」
「私は、南条 茜(なんじょう あかね)よろしくね」
「俺は、赤城 龍刀。よろしくな」
なんと、俺の隣はものっそすごい美少女でした。
ながーいロングの黒髪にあのー、ほらクラナドの杏のようなひもを付けた感じの髪型に小顔。
それに、整った顔。まさに日本の大和撫子?見たいな感じですっごく日本人らしい可愛い女の子だ。
あれ、まてよ。よくよく考えたら俺の周り女子だけじゃね?しかも、美少女だけ・・・。
はっ、これって結構すごいことじゃ・・・。
俺は、女子に囲まれている。嬉しく思うべきか、はたまた男がいないことに悲しむか。
あ、いっとくけど男の趣味は当然ないからな。
鈴木と桐谷はどこにいるか探してみることにした。
「おう、鈴木は案外近いな」
鈴木は、笹野の隣だった。俺の右斜め後ろだな。
「だなー、桐谷は?」
「探してみる」
桐谷はちょうど真ん中あたりで少し離れている。
ま、別に桐谷と離れてもどうということはないが・・・美少女三人に囲まれるのは、関係ないか。
それよりも、今の俺にとってもっとも大事な課題が一つある。
それは、この五日間どうやって生き延びるかだ。
「なんとかなるかな」
なんない気の方が強いが。
窓を眺めながら昼休みまでやり過ごした。
とうの授業はというと、まったく内容が入ってこなかった。

昼、俺の地獄の時間が始まる。
いつもどうり鈴木と桐谷、それに今回は泰子が混じって飯を食べた。
とうぜん、俺は飯などないわけで俺の話題なるわけで。
「どうした、リュウ。飯は?金はいるんじゃなかったっけ」
「あぁ、実は・・・金は五月五日にはいんだよ」
俺は、手っ取り早く大雑把に金が五月五日に入ることを告げた。
「五月五日ってたしか、日曜日か」
「に・・・日曜日。ふはっ、死んだ」
「大丈夫、リュウくん。どうしたの?」
「日曜日ってことは銀行あっちじゃ動いてないから月曜の六日になったわけだ。六日の断食生活」
「た、大変だね。リュウくんも」
大変とかいいながらも誰も俺に飯をくれなかった。
友達思いじゃねーな、このやろう。怒ることでもないがなくこともできなかった。
空腹で、死にそう。

今度の試練は放課後にやってきた。
俺は、いつものように笹野と話そうとは思わなかったが学校には残った。
理由は家に一人しかも空腹だと気がどうかなりそうだからだ。
俺は机に顔をつけたまま夕日を眺める。
あいかわらず、笹野は一人本を読んでいる。
「ちょっと、いいかしら」
「へっ!?」
「そんなに、驚かなくてもいいじゃない」
笹野のほうから声をかけてきた。正直ものすごく驚いた。
ありえん。その一言だけが俺の頭を支配した。
「私の話聞いてるのかしら、聞いてないのかしら?」
「聞いてますとも」
「そう。それなら、なんて言ったか答えてみなさいよ」
「えー、えー、えーと・・・あっ、鳥の糞ってうざいわよねって言ってた」
「ふざけてるのかしら。」
「え、ふざけました・・・うっ」
机の下からスネを蹴られた。
なんて、器用な蹴りだ。ジャストミートだぜ。
「いてーね、何すんだよ」
「なに?ですって」
「なんでもないです・・・すいません」
「わかればいいのよ」
「で、結局なんだったんだ?」
「もう、いいわ」
「はっ?」
「それじゃ」
「あ、おい!いっちまった」
笹野は、迎えが着たんだろう。鞄を持って教室を出て行ってしまった。
ふいに腹がなる。
「そうとうやばいな」
俺は、空腹の腹を抑えながら飯のまたない家に一人さびしく向かった。
「つらいよー、源さん。なんてなっ」

       

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