Neetel Inside 文芸新都
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 何もせず屋上に横たわっていたらいつの間にか日が暮れていた。
授業は全て終わっている時間なので、そのままミライは家に帰った。
彼女の父は今日は休日だったようで、家につくと、優しく彼女を出迎えた。

 夕飯の時間、ミライはケンイチのことを父に話していた。
「私も、ミライ位の歳の時はそういう事を考えたよ。
だんだんと大人になっていって、世間の理不尽さだとかにぶつかる時期だからね」
「お父さんも、革命とか起こそうと思ったの?」
「思ったさ。
理不尽な世の中を変えてやろうって。
でもね、直ぐに気付いたんだ。
自分は世界を変えられるほど大きな人間ではないって。
世の中にはもっと強くて、もっと大きな力を持った人間が幾らでも居るんだって。
だから、私は自分の幸せだけでも勝ち取るために、必死に勉強して大きな企業に入って、そして家族を守るために、必死に働いているんだよ」
「お父さんも頑張ったんだね。
ありがとう」
「いいんだよ、私がやりたくてやってるんだから。
若者の力というのは凄いからね。
もしかしたらその革命、成功してしまうかもしれないけどね。
私は臆病だったから、そんなこと出来なかったよ」
「成功したら、皆幸せになるのかな?」
「わからないな、先のことだから。
そこは、若い力に期待するしかないだろうね」
「そうだね」
話してばかりであまり手をつけていなかった夕飯を、
ミライは直ぐに平らげてしまった。
「ごちそうさま」
「お粗末さま」
その後風呂に入って、そして直ぐにミライは寝てしまった。

 ケンイチが学校を退学して少し経ったある日、ミライは買い物をしていると偶然に
彼と遭遇した。
「どう、革命の準備は?」
「万端さ!
チバの凄腕のハッカーを雇ったんだこれで百人力だよ」
その後二人は色々なことを話した。
チバや中国の闇マーケットでM6タイプ機士をかなりの数調達したこと、
実行は一週間後であること、などだ。
 
 「ねえケンイチ君ちょっといい?」
「なんだい?」
「無事、ケンイチ君達が革命を終わらせたら、
またゆっくり話がしたいんだ」
そう語る彼女の顔は俯き気味だ。
「喜んで話し相手になるよ。
じゃ、準備があるから俺は行くよ」
笑みを零しながら彼は立ち去っていった。
彼女には彼の笑顔は眩しすぎた。

 









       

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