Neetel Inside 文芸新都
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■コラム 第5回~ちゃっかり同じ世界にしてみたり~


◆ブラッディメアリー
 直訳すると「血まみれのメアリーさん」。これ以上恐ろしげなカクテルの名前はきっとないだろう。
 トマトジュースの赤色が血の色を連想させることから……と思っていたものの、この「メアリーさん」は実在するらしい。16世紀のイングランド女王、メアリー1世の異名に由来で、彼女は即位後300人にも及ぶプロテスタントを処刑したことから、そう呼ばれるようになったそうな。
 作中に出したブラッディメアリーは、作者がよく行くバーで実際に使用されているもの。仕事に疲れたときとか、これをグイっと飲み干す。もちろん疲れが吹き飛ぶというわけではないけれど、多少元気は出るような気がする。
 ただ、厳密に言えばトマトジュースではなく、トマトジュースに貝のエキスが入った「クラマト」を使用しているので「ブラッディシーザー」ですけどね。


◆エンジェルシェア(天使の分け前)
 説明としては作中で言っている通りです。作者はエンジェルシェアという表現が大好きです。
 なんと言いますか、すごく余裕のある感じが伝わってくるんですよね。例えば作者がカフス(ウィスキーの入った樽のこと)を買い取り、自分の部屋に置くとします。そこから何年も待つわけですが、毎日毎日樽を眺め、撫でて、それを呑んで至福に浸っているときを妄想するわけです。
 しかしその間、揮発してウィスキーが減っていくわけですよ! ここで作者は「天使が呑んだんだね」とか思っていられない! そりゃもう横取りされた気分になるってもんですね!
 どうせなら超美人な女神のお姉さんがやって来て、いっしょにグラスを傾けたいもんです(作者的にうまく言ったつもり)。


◆デビルズカット(悪魔の取り分)
 http://www.musashiya-net.co.jp/products/details5441.php
 ↑これのこと

 これもなかなかユニークな表現。勝手に減ってしまう分をエンジェルシェア、樽に残った分をデビルズカットと呼ぶなんてセンスを感じる。
 エンジェルシェアの説明の延長で考えると、悪魔は樽に残った分しか呑まない。つまりとても謙虚というわけ。文字通りおこぼれをもらうということなので慎み深いではないか。
 さすがに作者も鬼ではありません。小悪魔褐色美少女にドーンとウィスキーを振る舞ってあげようじゃないですか(これも作者的にうまく言ったつもり)。


◆作中の2人
 どうせお酒を扱う作品なので出しちゃおう、ぐらいのノリで出しちゃいました。おそらくあの2人はバーとか行かなそうですが……
 同じカウンターに並んでいる人って、けっこう気になったりするんですよね。何も会話を聞きたいわけじゃなくて、どんな人なのかなーって思います。
 ほぼ同じタイミングで同じ注文をしたとき、そこから会話が生まれるときもあったりします。それが良いか悪いかは人次第ですが、お酒を呑むという行為で繋がりが生まれるというのは良いものです。

       

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