Neetel Inside 文芸新都
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消失点
4. 鏡

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 僕の家の玄関には鏡が置いてある。外出時に身だしなみを整えるために父親が壁に取り付けたものだ。家を出るときは服装の乱れなどをそこで最終チェックして出ていく。それは偏に周囲に自分の姿をできる限りよく見せたいからだ。しかし、周囲の人間から見た僕の印象とはどんなものだろうか。
 鏡を見れば見た目の印象はわかる。身長は百八十センチだが、頭部が割と大きいため、そこまで身長があるようには見えない。えらが張っていて、眼鏡に、少し太めの眉。ニキビはそこまで多くない。腕や足は細いせいで、服の上から見れば中肉中背に見えるが、腹にはかなり肉がついている。全体的に言えば怖い印象だと思う。
 性格はどうだろうか。お喋り。悲観主義者。負けず嫌い。理屈っぽい。怒りっぽい。寂しがり屋。臆病者。これだけ書けば性格の悪い奴みたいだが、割とあたっている自己分析だと思う。これがどこまで人に見えているかはわからないが。
 もし、自分の様な奴が周囲にいたらどう思うだろうか。恐らく友達にはなれないような気がする。自分もプライドが高いので、自分がもう一人いたとして彼と話すことになれば、直ぐに喧嘩になってしまうと思う。
 つまるところ、自分が嫌いだ。変わろうとはしている。だが変われないし、どこかで自分の生き方に無意味に確信を持っていて変わることを億劫がっているところがある。
 ここまで理解しているのに現状を変える力も無い。だからなおさら嫌いだ。

       

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