Neetel Inside 文芸新都
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第四回


目の前に立ちはだかった僕を、男達は怪訝そうな顔をして睨みつける。
僕も負けじと男達を睨み返す。
『はぁ?あんた、だれ??』
ガングロ男が僕に問いかける。
『彼女が嫌がってるだろ!離せよっ!!』
僕は再び叫んだ。
『はぁー。もう、そういうのいいんだって。さっきやったから。マジだるぃんだけどー?さっさと、どけよ??』
ドクロ男が手を振り、指輪をギラつかせて言う。
(血が出たって、骨が折れたって、どくものか!)
僕はそう心に決めて、足に力を入れる。
『彼女離して、お前ら出て行くまで、どくもんかっ!!』
そう叫ぶ僕に。
『なに?あんた、正義の味方かなんか気取ってる訳?』
ガングロ男は少し笑いながら言う。
僕は少し目をつむってから。
『そうだ!』と答えた。

一瞬、空気が止まる。
そして、男達は大声で笑い出した。
『何がおかしいっ?!お前らみたいな悪い奴らの好きにさす訳ないだろっ!!』
僕の言葉で、男達は笑うのをやめた。
そして、男達は今にも人を殺しそうな目つきで、僕を睨みつける。
『なんだ。こいつ?ほんとウザいな…。ぶん殴ろうか』
小言で呟き、ドクロ男は僕に近づいてくる。
周りの皆は、固唾を呑んで、僕を見ている。
その時、僕は。
殴られたら、どう攻撃仕返せばいいか。
どうすれば、男達を無力化できるか、必死で考えていた。
(殴りにきたら、昔習った柔道の一本背負いを…。そして、すぐに彼女を掴んでるガングロ男腕を攻撃して…。きっと、きっとできる!僕はアンパンマンだ!!)
頭の中で、悪者を退治するイメージ作り上げる。
ドクロ男は手が届く距離まで近寄ってきた。
『なぁー、おっさん。マジでどく気はないの??』
ドクロ男が睨んでいう。
『ない!!!』
僕は言う。

そう言うが。
言うが先か後かわからないタイミングで、ドクロ男は僕を蹴った。
ドクロ男の足が、みぞおちにめり込んだ。
息が上手く出来ない。
身体がくの字になる。
だが。僕はドクロ男に必死でしがみついて。
高く掲げた拳を掲げ、そして、振り下ろした。

拳を振り下ろしたが。
またも、先か後かわからないタイミングで。
ドクロ男の膝が、僕のみぞおちにまためり込んだ。
そのせいか。
僕の渾身のパンチは擦り傷を負わせるだけの成果しか残せなかった。
僕は完全に呼吸困難に陥って、その場に倒れた。

周りから悲鳴が聞こえる。
彼女も悲鳴をあげてる。
(ちくしょう…。ちくしょう…!アンパンマンが負ける話なんてあるかよ。ちくしょう…。だせぇ。泣いてる彼女を守れもしないなんて…。ほんとのアンパンマンなら、こんな時、新しい顔で戦えるのに。絶対のピンチでも逆転勝ちするのに…。僕は苦しくて、起き上がることも出来やしない…)
悔しくて、苦しくて、涙がボロボロと溢れた。


第四話。
アンパンマン、ピンチ!!顔が濡れて力が出ないよ…。
終わり。続く。

       

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