Neetel Inside ベータマガジン
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「はまたん(ポケットサイズ)」
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=7889

はまらん先生の短編集。
一応、全部読みました。
ちょっと読んでいて苦痛に感じる部分もありましたけど…。
面白いのもあり、当たり外れありましたね。

■ゴッド・オブ・デス・イン・マイ・ルーム
文芸だけどラノベですね。
ラノベ短編だからショートラノベか。
軽味で口当たりも良く適度に甘い感じです。
ただ雑味が少しある。
短編なのに前半の大介のボケが冗長かもしれない。
そして物足らなさもある。
外見や性格などでカナの可愛さをもっと強調して欲しい。
もしくは大介がカナに惹かれた理由を鮮明にするとか。
単に美少女ってだけじゃ芸が無い。
「これで終わり?」というのは思った。
喉越しは良いが後味がすっきりしない。
以上、ソムリエのような感想でした。

■狂いて歩むは修羅が道
競歩についての話。
勢いとかノリは悪くないと思った。
私は余り面白く感じないけど、人によっては面白く感じるでしょう。
うーん…いや、申し訳ないが凡庸だわ。
具体的にどこがって言われると困るが、全力を出していないところかな。

■メイド・オブ・デス・イン・マイ・ルーム
最初はトゥー・レイト・ショウの「女中の袖に手を入れて」のプロトタイプ?
という印象が真っ先に思い浮かんだ。
満月さんならぬ天月さんとエロ馬鹿ご主人様との生活。
「女中」の下位互換というか、いまいち吹っ切れていない感じはするが、これはこれで面白い。
ハードエロに対してソフトエロです。
とことん従順でエロサイボーグな満月さんに対し、人間らしいというかツンデレ暴力系ヒロインな天月さん。
でもさー、外見はちょっとばかり魅力的なのかもしれないが、「これ」にご主人様が惚れるのはちょっと無理なくない?w
ツンデレ暴力系ヒロインっていうか…金と暴力に訴えて立場逆転したら強気に出てくる闇金ウシジマくんみたいな女だよ彼女w
年齢詐称&喫煙者&酒豪だしさ~w
「女中」では主従関係が完全に出来上がっている状態からスタートでした。
だから過去に何があったのかとか含みを持たせ、徐々にストーリーが明らかになっていくシリアスと重さがあった。
こちらは出会って間もないメイドとご主人様が徐々に打ち解けて友人関係を築く日常系。
なので気軽にほのぼの、人間関係も自然体に感じながら読めるのは良いと思います。
天月さんが徐々にデレていく過程も面白いですしね。
と、最後の方まで読み進めていたら何とも衝撃の事実が。
ほほう、そうきたかw 
楽屋落ちか~www
ははっワロス。
「これは萌えねぇわ~」と思っていた天月さんですが、これはこれで萌えとか関係無しで面白いキャラ。
あつしの書いたエロ小説の感想を語る天月さんは普通に面白かった。
更新されたところまでで完結としても、良くまとまっていると思います。
…まぁ、続きを読みたいか?と聞かれたら、天月さんのように微笑んじゃいますが。

■アンチカップル・アンチクリスマス
少年ガンガンで昔やってたパッパラ隊のしっと団を思い出した。
いや、パッパラ隊より毒がきいてて笑える。
落ちは容易に読めたけど面白い。

■河原で散歩
ICBMとか魔法のランプとかが河原に落ちているそんな日常系っぽい非日常世界。
登場人物達が非日常に遭遇しても大して感動がないのがシュール。
その分、記憶には残りにくい話。

■ゆめおち
手塚治虫の火の鳥とかに見られる救いが無い感じのSFって感じで良いんじゃないでしょうか。
中学生が考えたようなC級と卑下されてますが悪くない。
ただ何百兆光年には笑った。

■それから
てきとー壮大SF。
てきとーに感想を書けば落ちが良かった。
アリュ何とかっていう宇宙人のポジションに笑った。

■地獄
死んだギャングが天国で贅の限りを尽くした生活を与えられる。
だが与えられた生活には生前つるんでいた悪友達が欠けていた。
悪友達がいないところでは贅沢な生活も味気ない地獄と変わらない。
といった内容。
途中から落ちは読める。
細かい部分に目をつぶれば、面白い。
アメリカンジョークにありそうな、寓話的な面白さ。
アンアンもそうかもしれないけど、はまらん先生はこういう作風好きなんですね。
厳しい事を言えば、こういうタイプの小説は「歴史小説」と似た部分がある。
つまり時代考証やら登場人物のバックボーンに裏づけがないと陳腐に感じる。
例えば「ナポリタン」ってありましたよね。
アッシュ達がどこの国のギャングかは知らないけど、ナポリタンは日本にしかない種類のスパゲッティです。
だからナポリタンって単語がたった一つ出た瞬間に覚めてしまった。
まぁ、日本の中の外国、米軍基地周辺にいる不良外国人とかなのかもしれませんけどねw
もしかしたら外国人のニックネームで呼び合ってるだけの日本人なのかもしれませんしw
また、これは短編だからボロは余り出ていないんだけど、アッシュみたいなキャラを主人公にして長編にするのは難易度が高いでしょうね。
外国人、それもギャング。
別に「日本人の不良高校生」でも良かったかも?
身近な存在でないから自然に書くのが難しく、どうしても三文芝居に見えてしまう。
遠い世界の話に感じ、よって感情移入はしにくい。
下手なシリアスは下手なギャグに劣ると思うんです。
これは私自身も課題なんですけどね。

■キラーオナホール
まずタイトルで笑うw
えろま先生節全開w
密かに私、はまらん先生よりえろま先生の方が好きです。
キラーオナホールってあれですね、「デッド寿司」みたいなアホっぽさがありますねw
ちなみに、デッド寿司とは、寿司を食べようとした人間を逆に食らうモンスター寿司の映画です。
猟奇的なオナホールはロリっぽい嗜虐系ボイスw
うん、デッド寿司もそうだったけど、何故かそういう声が似合うよね…。
映画で例えると「グレムリン」のような?
ディズニーアニメでもカン高い声で洒落にならない暴力的ないたずらをするキャラクター多いじゃないですか?
子供心に、可愛いから許されるのか?ってちょっと疑問に思ったりも…。
可愛さと怖さって同居させると妙にマッチする。
そして「トゥー・レイト・ショウ」でも思ったけど、えろま先生は「可愛い女の子に食べられたい」という願望があるんだね…。
いいと思う。Mの生み出した文化の極みだと思うよ。
本作はどの部分を読んでも爆笑させられたし、落ちもかつてない程の切れ味で良かった。
傑作です。

■世界リセットスイッチ
5億年ボタンの話は知っている。
相当怖い話だなぁってところですが…。
この作品内では具体的にどうリセットされたのか明言されず。
何が何だか?
謎のおばあちゃんは週刊ストーリーランドで見たやつかな?w

■俺の妹はおっぱいがでかい
世界リセットスイッチの続き?
もしくはリセットされた世界なのか…?
○が行間で出ているのはリセットされたって事かな?
はまらん先生は行間をかなり空けて表現する事が多いけど、これは効果的だったと思う。
こちらの話ではおっぱいがAKIRAのように暴走(何を言っているのか分からないがw)した妹の話が最初にあり…。
次に程良い感じに巨乳になった妹の話がある。
そしてふと主人公は「俺の妹はおっぱいが小さい」と言いだす。
これはリセットされる前の世界の事が記憶として残っているって事でしょうか?
ちょっと実験的な作品だなと思いました。
程良いスケールで面白かったです。

■泣ける話
落ちは哀れみの微笑みでした。
涙が宝石になるって設定、一体いつの誰が始めたんでしょうね?
ドラクエ4のロザリーもそうだったし、本当良く見ますけど。

■ストック・ブレイク
恋人の命を吸って強くなるスーパーヒーローの話。
コメントしづらい。
はまらん先生がこういうのを書きたいっていうのは良く分かる。

■ポーカーハート
えろま…いや、はまらん先生は、本当に男の娘が好きですねぇ…。
クリスや心のキャラは良かった。
でもギャンブル物を読んでいるという感覚はなかったなw
何だろう…そう、酒呑みの一気飲み対決みたいな感じ?w
面白かったです。

■ご注文はベンガルタイガーだっけ?
まったく心ぴょんぴょんしない「ご注文はうさぎですか?」の二次創作。
はまらん先生のギャグというか文章のテンポは小気味が良いので割と面白い。
元ネタも知っていたので何とかついていけたっていうか、声優の声そのままで脳内再生余裕だった。
私も難民ですから。
ティッピー→ベンガル虎でサガット
お父さん→タイガーマスクと思いきやデビルマン
このへんは「フフッ」ってなったw
まぁでも、カレーっぽいけどやっぱりうんこですわこれ。

■THEうんこ小説
うわっ、臭い。
正真正銘のうんこやないか!w
と、思いつつも、うんこを見るのは好きです。
便器にひねり出したうんこをしげしげと見つめてしまう。

>内股になり生まれたての子鹿のように震えながらも腹は一昔前のダイヤルアップ接続音じみた不協和音を奏でている最中だ。

この表現は秀逸だと思ったwww
蝉丸先生が「席にいなければ、うんこです」ってうんこ小説を書いていますが…。
そのはまらん先生バージョンを読んでいるようでした。
ただこっちは妹との会話があるから、よりラノベ的ではある。
妹好きですよね、はまらん先生。
タクティクス・オウガっぽい会話のへんとか面白かったですよ。
芝居がかっていてリアルじゃないけど、読む分には面白い。


総括します。
うーん、はまらん先生(表)とえろま先生(裏)が時々入り混じる構成でしたね。
ただ個人的好みで言えば、えろま先生の方が色々振り切れているから読んでいて爽快。
「トゥー・レイト・ショウ」はどれも最高に面白かったのに比べ、「はまたん」は当たり外れありますね。
はまらん先生はZ軸は良かったが、アンアンはいまいちって印象です。
ギャグは安定して面白いけど好みによるかな?
「キラーオナホール」は私のツボに入りました。
でもシリアス一辺倒ははっきり言えば凡庸です。
「ストック・ブレイク」は一番つまらなかった。
で、ギャグ織り交ぜながらの程々のシリアスなら面白く読める。
「ポーカーハート」ぐらいのバランスが丁度良いのかもしれませんね。

       

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