Neetel Inside ニートノベル
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また朝がやってきた。
昨日女から受け取った風呂敷包み。
昨日は気が進まなかったので全く手をつけなかった。
俺は今から、この包みをほどいてみようと思う。
風呂敷には桜の花びらが描かれていた。
この春を刈り取ると四角い漆塗りの重箱が顔を出した。
こいつ、すましていやがる。
自信があるのだろうな。
さて、蓋を取ってみて中身を見た率直な感想を言う。
ただ豪勢なだけだ。
せっかくの和食だというのに質素にしなくてどうする。
料理は豪華にすれば良いというわけではない。
女は何と言っていただろうか。
栄養バランスを考えていると言っていたはずだ。
ふん、やはり口先だけだったな。
俺の足元にも及ばん。
今でこそ宅配弁当生活だが、俺はこれでも昔は自炊をしていた。
俺の方が田村より料理が得意であることは明らかである。
まあ何も食わずに否定から入るというのも、どうかと思うから味見はしておく。
不味かったら問答無用でゴミ箱にぶち込んでやる。
とりあえずこの煮物から食おう。
約3分の間の後、電撃が脳内を走る。
「な、なんだこりゃ。」
口内に梅の花が咲いたかのような味だ。
梅の味というわけではないのだが、何だろう。
芸術的な味がする。
材料に何を使ったいるかが分からないから的確な比喩は出来ないのが残念だ。
訂正しよう。
女の料理は俺ほどではないが俺の足元に跪ける程度には美味い。
肉じゃがはまぐれかと思ったが、連続して美味いとなると話は別だ。
重箱は4段あったが2段目まで食べると流石に腹も膨れた。
眠い。
先程起きたばかりではあるが、今は己の欲望に素直になろう。
少し、休む。

       

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Neetsha