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「ソナタ」   三浦 作
http://lapluie.kumogakure.com/novel.html

10周年企画では第46話まで読ませてもらっていました。
感想企画を通じて、一話から一気に読むことになった三浦先生の作品。
話数を増すごとに、文章の変化を感じられるのが、面白いところです。
私も作画でそうなんですが、初期と現在、作画安定しませんねw



■今までのあらすじ
日常編では双子の兄・透と妹・光が、自分の学校や他校の不良を巻き込んで、面白おかしく、ドタバタバトルを繰り広げる様が描かれていました。透は草食男子でへなちょこ。光は勝気で男勝りに喧嘩が強い。透は自分に降りかかる厄介ごとを、いつも光に処理してもらうのでした。しかし日常編終盤にくると、そんな彼も修行と称し、己を鍛える道を選びます。
透輝大学病院編では、病院内の極秘施設に入り込んだ透と光、その他の仲間が謎の実験に利用されそうになる。しかしその実験には、透や光の体質に通じる要素があった。作品のカラーはバトルコメディから、バトルである本質を掘り下げていく、サイエンス的方向に移行してきます。



■各話ごとの感想

第四十七話 道重珊瑚その②
謎の研究施設の目的に反して、「カーニバル」を人工的に作り出す喜びに燃える孔雀嘉男。そんな彼に不安を覚える珊瑚。
つっこみを入れたい場所で、しっかりボケてくれて安心しました。孔雀のカーニバル遺伝子の発注先には爆笑。何でも売っているんですね、あの通販サイト。私も愛用しています。返品もききますし、商品レビューもあるので買い物しやすいです。またレビューも投稿できますからね。
ずっと気になっていたんですが、この施設には監視カメラがないのでしょうか?

第四十八話 孔雀嘉男
優秀な兄を持っていた嘉男。彼は幼少の頃から、兄への劣等感と相手にされない両親の愛に飢えていた。
孔雀に対しては、何を考えているかは別として、不屈の人物であると映りました。彼の生い立ちや渇望を思うと、子供ながら人道からそれず、よく人生やってこられたと思いました。

孔雀と珊瑚の、ゲイの例を挙げる場面。
ここではもう少しメリハリのある、極端なたとえ話が欲しいと思いました。
孔雀は現状、とても普通の人の価値観ではないように書かれていました。つまり、孔雀+ゲイであった場合…。ゲイにも危機が及ぶ気配を若干感じます。男女の例でもそう。男子が危険かもしれません。
「普通に生きていても向こうからやってくる恐怖」をもっと極端に、どちらか一方が確実に、命にかかわる危機を感じられる例えが欲しい。その上で孔雀が理解していない状態なら、もっとすっきりこの場面が生きたように思いました。珊瑚の一生懸命さも、読み手に伝わったと思います。

第四十九話 桔流赤丹
パーツが好きな桔流赤丹。霙の能力へ、実験成功前から大興奮で彼女を称える。一方、病棟内では相変わらず入院を強いられている真赭が、漫画好きの黒人・パンさんと仲良しに。
赤丹の一人喋り。長い。ウザイw
魂を肉体にうつす作業で、成功かどうかもわからないのに賞賛を送る赤丹。ウザイw
サイエンス色が少し濃くなってきていますが、ソナタ独自の世界観は変わらず。読んでいてくたびれないので、程よい取り入れ方だと感じました。あまりサイエンスに走りすぎると、この作品では浮いてしまうような気もします。今ぐらいのほうが個人的には好みです。
腕がもげたクローン?  クスってなりました。

第五十話 若芽繁その①
研究員仲間の死は重大な問題。珊瑚、孔雀、若芽は事後処理をどうするかについて悩みます。そこへ……。
え? 赤丹さん?
最初本気でまさかと思いましたw ラストまで読んでですよね~って安心。

誤字
天上→天井 (二行連続で変換ミスあり)



■今回までの更新分の総括
三浦先生の作品への強い意気込みには、毎度驚かされる気迫があります。これだけの長編をよく構成して書かれているのと、物語の世界に引きずり込む意志がひしひしと伝わってきます。また、読み手が斜に構えて読まなくても良い文章で、安心感もそそられます。そこがニノベで、無二の個性として映るのでしょう。誇るべきです。心地よいです。今回までの更新分で、人物像も割とくっきりつかめてきました。透輝大学病院編の研究者と用心棒の面々、彼らの個性もしっかり書かれていますので、随分話も追いやすくなったと感じました。孔雀嘉男にまつわるねっとりとした過去話では、闇のある人間性描写に、好感が持てました。若芽がまだ薄いけど、それは今後にという事でしょうね。ギャグ要素の入れ方もいつもの小技で笑わせてくれました。
良い作品ですので、もっと読まれて欲しいなと思います。応援!



■作中印象に残った箇所

・孔雀がカーニバル遺伝子を発注したこと。それに対する若芽との会話。
とてもウケた。
・働きに大きいも小さいもない。
木村さん気になる。登場が楽しみである。自分の仕事でも言われてみたいですが、そうすると皆サボりだす国民性。色々辛いです。
・漫画好きのパンさん
新しい登場人物。キャラクター性と立ち位置が絶妙。



以上この作品に関する18日更新分の感想はここまで。

       

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