Neetel Inside ベータマガジン
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「殲滅するアウトライン」    篠笥すん 作
http://vampline.yu-nagi.com/

お名前は存じています。
しかし作品を読ませてもらうのは初めての作家さんです。
ニノベでは今年になってから6作品お持ちのようです。多いですね。
どの作品も技巧を凝らしたタイトルが冠されています。
作風としては中二系を書かれることが多いのでしょうか?
本作もジャンルは厨二バトル(中二バトルと同義?)とあります。



■各話ごとの感想
第壱幕:回天の少女と鉛弾の少年
狙撃を試みる双子姉妹。姉・若桜紗鳥は銃を構え、妹・若桜紗織は情報担当。姉は難なく一発目の狙撃を成功させるも、その後二人をトラブルが襲う。
地の文がしっかり書かれていて、出だしの世界観への導入には好感が持てました。姉妹の会話も無機質な姉の口調と妹のフランクな口調の対比もあって人物像がとりやすいです。
ただちょっと登場人物はありがちかなと思う。


誤表現(言葉使いの妙)
>治安
治安は国家や社会を対象にした秩序、概念として使う言葉なので、人・物に対して用いられているのに奇妙さを感じる。
文脈から「監視」とかにするといいのではないかと思った。

第弐幕 さよならさよならさよならです
組織の仕事で潜入した先で、組織に捨てられる羽目になった少女・ロミルダと青年・フリッツ。逃げ場を失い行き詰る二人に未来はあるのか。
ちょっと疲れました。
だらだらと長く続く物語を読ませるけど、見せ場が良く見えてこない。
決してつまらないわけではないのですが、文章がのっぺりとしていてテンポが感じられない。
惜しい。本当に惜しい。物語の内容よりも、文章でのだるさが気になってしまいました。
詰んだ時や、いよいよ死がそこまできた瞬間の絶望感、もっと鮮烈さが欲しい。
メリハリかな……そういうの。



■今回更新分までの総括的感想
幼くして特殊な能力に目覚め者たちがいる世の中。能力者である彼らはリンクスと呼ばれていた。
厨二バトルとあるのである程度読んだときにテンポも重要ではないかと思いました。地の文では文章は丁寧で荒はほぼなく好感が持てます。世界観や設定の入りもさほど煩くはない。
おそらくこれだけ書ける方なので、文章を書くこと自体は上手なんだと思います。
ただ少し表現や文章が緻密すぎかなと感じます。くどい表現(感じていた違和→違和感でよくね?)にやや疲れる。文章表現での緩急があれば一話内に起伏があって面白いし、読みやすいと感じます。厨二でバトルシーンも入ってくるので、軽快さは欲しいと思いました。
ニノベにはバトルを入れてくる作品は多くあります。その中では本作のバトルシーン描写はややぬるいと感じる。ともすれば書き手の中二自己満足で終わりそう。「平和と混沌の学園」「力を持ってる彼の場合は」「レギュレスの都」とかだと最近のダントツ作品ではないでしょうか。テンポや勢いに好感が持てる作品です。
まあ、文章面に関して随分偉そうなこと言ってますが、私も何様ってくらい下手ですから、こんな感想ごとききに振り回されずにいて欲しいです。
本作のタイトルはかっこいいです。まさに厨二。ですがタイトル負けしている気もするのが惜しいところ。
あと、自サイトの「次のページ」「前のページ」リンク切れています。これは意図してのことなんでしょうか?「つづく」も書いてあってリンク切れだとせっかくの自サイトでも印象を悪くすることがあるので注意した方がいいです。



以上この作品に関する17日更新分の感想はここまで。



       

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