Neetel Inside ベータマガジン
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「Wild Wise Words」   音引ココ 作
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=15598

感想を書くのは初めての作家さん。
どなたかの別名義でしょうか? 分かりません。
ただ文章のほうはかなりお上手です。
更新のたびに追って読ませてもらってました。
本作、書籍になっていたらおそらく私は買うでしょう。
ひとことでこの作品の良さは語れない。
一度更新されたけど、現在抜けている物語もある。
劇場モルガンサファリの話と厄賽の話。以前読んだ記憶がありますが……。
意図してのことなのでしょうか?
今回感想書くの難しかったですよw 体調不良もあって余計に時間かかった。



■各話ごとの感想

・更新分
私を取り巻く世界は灰になる。原因は私の夢にあるのか。止まらない灰化現象に終わりはあるのか。そこに現われた説法屋という男。
金も権力も受け継いだら同じことが起こりそう。気持ちはそこに置きながら読ませてもらいました。説法屋は骨肉の争いを好奇の目で楽しんでいたのでしょうか。それは分からないけど、すべてを知っているような彼の口ぶりが小憎たらしく映りました。

・黄金の心臓
盗人を生業とする男。古い神殿を盗掘する際、神殿に施されていた魔法にかかって生け贄となる。そこへ現れる説法屋。盗人は説法屋とある約束をする羽目に。
繰り返される無限のループ感が巧妙な仕組みで面白い。説法屋は搾取者であり続ける。うまい具合に網にかかる盗人を待つだけ。狡猾って言葉が最大の賛辞になる説法屋、ひたすらかっこいい。

・消し炭の彼
焚き火にむけて微笑みかける女。愛は火中、燃やされている男に注がれる。そこへ現れる説法屋。
女に対抗する説法屋の武器は口だ。彼は一切、手を下していない。しかしその行動、言葉はあまりにも強い。夜の一幕での出来事、妖艶な愛のやりとりがなんともいえず鮮やかでした。

・生き方書き方
休暇の暇つぶし、読書に飽きた死者の管理人は、転寝を試みる。そのとき一人の死者に道を聞かれた。
現世でやり残したことを、こんなふうに叶えることができたら、望まない死でも受け入れられるだろうか。生前の仕事にもよるのか。きれいな話。どこか心が温まる。
「書きます」とても強く感じた意志の言葉でした。

・ブルー
海の中の景色。視界は浅く深くを自在に行き来する。読み手が文字と視界を共有するのは青い世界。
少し難しい回でしたが、自在に海中と海上、船の上を動き回る意識には面白い感覚にとらわれました。小気味良い。僅かに感じられるしぐさから、人の動きなのだろうかと推測するけれど至って曖昧。たとえ突飛な表現であっても、視界を追い、海の営みを書いてしまう文才。驚きの一作。
黄金の粉、アマゾンで買えませんかね。欲しいです。高価だろうな~多分。

・実験室
世界の「法」となる生物を生み出すための研究所。俺は研究員としてつとめているが、失敗ばかりで明日をも知れない身。そんな俺のもとへ現れる説法屋。
ここで登場する世界の法となる生物の材料がまたw どれもこれも奇妙で希少ぞろい。説法屋はいつもどこかですべてを見ている。すべてを知っている。誰もが得ることのないものを得ているように見える説法屋。彼の搾取はまだ続くのだろうか。実は何者でもないような絡みが、とても謎めいる。それは説法屋の魅力でしょうか。

・木枯らし
墓場から抜け出し散歩に興じる死者。彼女には相談相手のワニの医者がいた。
たとえ騙されていたとしても、そのとき感じていた感謝の気持ちは本当の気持ち。何が嘘で何が真実、そんなことはどうでもよい。今、何がしたいのか。それだけが真実。名探偵っぽくふるまう説法屋、彼が正義とか実はどうでもいい気はする。そんな感じがたまらなく面白かった。

・世界
神は長い旅の終わりに絵を描こうとした。しかしカンバスを前に筆は進まず。そこへ現れる友人。
大切なものは失うまで分からない。あえて言わなくても分かることなのに誰でも忘れてしまいがち。
大事にしないといけないは、そうそう、これこれ、感謝なのにね。



■今回更新分までの総括的感想
本作を知ったきっかけは、後藤先生の感想企画からです。そこか憑りつかれたように、毎度更新がされるたびに読ませてもらっています。今回の更新で読んだ中には、以前に更新されていた何作かの物語が抜けていました。それはさておき、この物語、その世界観の機知さにひたすら魅了されます。
絵画的とも言いましょうか。読んでいると自然と唸ります。美術館で絵画鑑賞をすると、言葉ではなく様々な感情から嘆息や唸りが漏れることがある。同じ感覚にとらわれます。引き込まれ、その世界で心が揉まれる感じのある作品です。噛みしめる面白さ。読書で鑑賞という気持ちが近い。
説法屋の立ち位置の絶妙さもよい。物語は説法屋と登場人物との絡みから見えてくるのですが、説法屋だけを見せるのではなく、Wild Wise Wordsの独特な世界をしっかり見せてくれる。作家さんの頭の中、どうなっているんでしょうね。こんな文章作品が書けるは誇らしいことだと思います。
文章力に関しては、申し分ないかと思います。野心さえあればお金を稼げそう。これだけの更新数でミス一つ見つかりませんでした。稀有です。手堅い執筆への姿勢がうかがえます。
「Wild Wise Words」突飛なタイトルですが、直訳だと「野生」「博識、なまいき」「言葉」などがタイトルに並べられる。しかしこれだと少々タイトルの意味にはピンとはこない。感覚で意訳してみると面白いのではないのでしょうか。興味のある方は意訳を試してみてください。なるほどしっくりくるタイトルです。
ただ言葉なし、以下のみ。
美しくも奇妙な世界。お勧めです。 未読の方はぜひ読んでみてください。





印象深かった箇所はあません。本作に関して述べるなら、作品の出来全てが印象深い。
これと特定できる箇所が分からなかった。
独特な作品なだけに、こういう感覚は特殊かもしれない。




以上この作品に関する2日更新分の感想はここまで。

       

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