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「ボックス・イン・ボックス」   七瀬楓 作
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=17886

こちらも七瀬先生の作品。
「翼竜憑きの蔑称」と同じく今回の感想には偶然あたったもよう。
量産の勢いは衰えない様、本当に凄い。
物語の更新数そんなにない。 ふふん♪と思っていた。
実際読んでみると割と量あったw
好みとしては、そうだなあ~。やっぱり翼竜憑きのほうが好みだな。
躍動感や情景があっちのが鮮烈に感じたのでした。



■各話ごとの感想
0『葛城綾斗はなぜ女性恐怖症になったのか』
主人公・葛城綾斗は重度のアレルギーが発症するほどの女性恐怖症。その体質は幼少期のある出来事がトラウマになっていた。
男子のバカさは時に生命の危機。男性死亡率の方が女性より高いのは本能的なアホさがあるからなのか?   先天的に何かあるのかと考えさせられました。あるよな多分。

1『こんな俺に誰がした』
1~4
最悪のトラウマから6年。超能力の潜在性が確認された綾斗は転校し、箱ヶ月学園での生活が始まる。しかし、その学園の頂点に君臨するのは、綾斗のトラウマをつくった張本人の女子・武蔵野白金だった。転校早々騒動は起こる。
ここで出てくる担任の麻生先生、気に入った。担任ですら主人公にイエスを唱えないスタイルは気分がいい。主人公にとっての事の深刻さを全無視するサッディズムにしびれを感じます。好印象。
基本的に亀島さんは唯一の見方っぽいけど、ふわふわと見せかけて彼女の信念は固そう。クラス委員の立場から時には綾斗を裏切ることもあるのかなー。
ハチャメチャな世界観の中にある日本政府のハチャメチャな政策。さりげなくもきっちり盛り込まれていて好感が持てます。

2『ボックス保持者の学園生活』
1~更新分
武蔵野白金が実は大企業の令嬢だと知るも動じる色の無い綾斗。発現した能力を有効に使う術をあれこれ思案していた。
戦闘訓練でバズーカ出してくる亀島さん、可愛いな。でかい武器と華奢な女子の対比って、なんであんなに萌えるんだろう。構図がとても良く感じる。
描写が丁寧だった茶介は友達になるだろうと思っていた。あと彼の名前、お茶漬けみたいで登場当初、妙なツボにはまり爆笑していたのも事実。
何があるのか知らないけど、綾斗ってはやく用事を済ませる意味でも白金のところに行けば?と思う。注射もさっさと終われば怖くない。みたいにはいかないのか。……さすがに。


■今回更新分までの総括的感想
作品の技術的な面において、毎回同じこと言えるんだけど、こちらの作家さんはやはり安定して上位におけると思います。(七瀬先生について初見の方もいると思うのでそう書いておく)
あとは量産を完結という形に変えていければ、間違いなくニノベの看板作家の座は固くないですか? どうだろう。私なんぞよりよっぽど実力があるはずなのに、これほど惜しい作家さんも稀でしょうね。
コンスタントに完結さえしていればコメントは3倍くらい増えそう。頑張ってほしいです。
大学のレポートも未完成で提出したって単位は可、あるいは不可にしかなりませんよね。決して有ではない。気持ちとしては似たようなところ。
ラノベの感性やセンスはものすごくよく感じられるし、文章にも引き込まれる。共感を得られる面白い表現においても多彩。こんなに魅力的な文で書けるのだから最後まで読ませてほしいです。
バカやってしまうけど、どこか冴えている主人公。人物像の描き方に生き生きとした魅力を感じます。読んでいると自然に目線をそのまま物語の中に向けられる心地よい感覚になる。こちらの作家さんの書く主人公像はそんな気がしました。いわゆるかっこいいばかりじゃない男子。本作も主人公・綾斗に共感できるできないは様々ありつつ、主人公へ持つ印象はとても良い。不思議なくらい好感が持てる。
内容的にもジャンルに嘘偽りない仕上がりになっていると感じました。学園ものはファンタジーに劣るみたいなことを、前回の七瀬先生の作品感想で書いていました。しかし読んでいて苦にならない、面白い作品はお勧めとして私は推します。ええ、そりゃもうね、当然。
物語の進行も丁寧で読みやすいので、未読の方は一読の価値ありかと。
ラノベって何ぞやとか、ニノベでの執筆を考えるビギナーにも、こちらの作家さんの文章は必読かと思いました。異能、学園、コメディという三大要素を分析してみてください。



■作中印象深かった箇所
・校舎から金の匂いがしてくる
分かり易い! 良い。
・「シャワー浴びてる時の背後の気配くらい気のせい」
気のせい表現のあるある感がハンパない。笑える。良い。



以上この作品に関する12日更新分の感想はここまで。


       

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