Neetel Inside ベータマガジン
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【せいちん!~青春珍騒曲~】
 バカが織り成すナナメ上ライフ
 何が起きてもdon’t need to be frightened
 Oh yeah!


「男子高校生の日常」を彷彿とさせる、一話完結型の学園ギャグマンガ。
 主人公のカズヨシこと、外村和義(バカ)と、その友人のミサオこと古城操(クールに見えて時々バカ)、毎回バカ話に巻き込まれるヒロインの白海ほとりちゃん(カワイイ)の三人を軸に話が展開される。
 読むときにゴチャゴチャ考える必要はない。頭カラッポでゲラゲラ笑い、ほとりちゃんに欲情すればオールOK。あるあるネタあり、パロネタあり、オチはぶっちゃけ九割勢いでなんとかしてる感があるけど、合間に挟まれるネタが間断なくツボをくすぐってくるので問題なし。ホームランバッターはいないけど、途切れずヒットを量産して大量得点とって行くタイプの作品だ。……と思っていたのだが、思わぬ不意打ちにやられることになる。第七話、「パパはサンタさん」である。

 あのねえ……こういうのズルいんですよ。笑わせて笑わせて、心のガードを緩めたところに渾身の一撃を喰らわせてくるやつ。しかもね、それが取ってつけたような感じじゃないんだよね、全然。話の流れ的には唐突なんだけど、間の取り方がうまいっていうか、事前のキャラ付けが生きてるっていうか……。そんなんね、ダウンするに決まってるじゃないですか。10カウント聞くハメになるに決まってるじゃないですか。その後のオチのつけ方もね、おっ、ギャグ領域に戻ってきたな、って油断させといてアレですよ。ずるいよ、立てないよこんなん。そんでこの話の直後の話のオチが○イナルファンタジーですからね。ふざけんなよもう(褒めてます)

 笑いあり、萌えあり、(不意打ちの)涙あり。
 脇を固めるキャラも皆等しくアホで、見ていて清々しいです。なんで共学なのに皆男子校のノリなんだw。好きなキャラは久臣くんと岡本くん。そして何よりほとりちゃん。
 かわいい。サンタさんになってあげたい。

 

【留森高校貧乳科】
 そこに宿るは天使か悪魔か……。
 女子たちの「胸騒ぐ」ストーリー


 巨乳VS貧乳。
 古今東西、男だけでなく女性も巻き込んでしばしば論争となるトピックだ。
 特に巨乳に対する貧乳女性の怒りというものは凄まじいらしく、ネットでは半ば冗談、半ば本気で怨嗟の声が立ち上っているようだ。一方、巨乳側から貧乳側への恨みというのはあまり聞いたことがない。乳が大きいと着られる服が限られる、というグチは耳にするが、それは貧乳への恨みというより、ただの悩みである。そして貧乳側は、こうした発言にも「自慢している」と噛み付くのだ。巨乳と貧乳、両者の間には、非対称な憎悪が流れている。

 さて、このタイトルとトップページを見た時、自分は「貧乳女子たちが、巨乳への恨みを吐き出したり、貧乳あるあるネタを言い合ったりしながら百合百合した日常を過ごす作品なのかな」と思っていた。女の子は少女マンガチックなデフォルメでかわいいし、胸というからにはちょいエロも期待できるかもしれない、と。

 だが、読み進めていくうちに、「どうもこれは、ただの日常マンガとは違うんじゃないか」という考えが頭をよぎり始める。可愛らしい絵柄に反し、トゲのような「女のエグさ」がチラチラと見え隠れするのだ。

 主人公の庵屋敷四葉(いおりやしきよつば)は、両親の転勤の関係で、留森高校普通科に転校することになる。だがそこは、女子全員が貧乳の通称「貧乳科」。そして四葉は「巨乳」だった――。これが大まかなストーリーだ。

 貧乳の群れに、ただ一人紛れ込んだ「巨乳」という異物。周りからは奇異と嫉妬の目で見られてしまい、学校を案内した僕っ子委員長からは、ついに「今すぐ僕らのクラスから出て行って欲しい」と言われてしまう。

 これ、ハッキリ言ってそうとうエグい表現である。

「貧乳」「巨乳」という要素は、言うまでもなく身体的な特徴で、自分ではどうしようもないものだ。それを理由に「クラスから出て行け」と迫るのは、実際のところ、イジメ以外の何者でもない。

 さらに、この発言をヤンキーでも性悪な生徒でもなく、「マジメな委員長」が言っているところがさらに闇が深い点である。もちろんこのキャラの性格はまだ掘り下げされていないのだが、一般的なイメージで言えば、委員長といえば「優等生」「マジメ」「常識派」というものであろう。そんな彼女に上記のセリフを言わせるのは、「私たちの常識は貴方を受け入れない」とほぼ同義である。

 してみれば、主人公は転校直後、誰からも話しかけられず、弁当も一人で食べようとしていた。その原因は彼女の性格でも何でもなく、「巨乳」という身体的特徴からである。巨乳貧乳といえば何のことはないように思えてしまうが、これを人種や国籍、生まれつきの特徴などに置き換えてみると、一気に笑えなくなってくるだろう。

 ストーリーに忍ばせた「毒」によって、一見するとギャグっぽいストーリーが、妙に緊張感をはらんだものになっている。これは単なる表現のアヤで、次回から百合百合日常方面に軌道修正するのか? それともこの不穏さこそが、作品のメインテーマなのか? 四葉の学生生活は平穏に終わるのか、まだ名前の出ていない銀髪の少女はどのような絡みを見せるのか――

 まだ第一話。話がこれからどのように転がるのかは、全くわからない。

 ……ところでこの学校、女子校なのだろうか?
 今のところ女性キャラしか出てきていないので、気になるところ。
 男が出てきたら出てきたで、「巨乳で男をたぶらかしてる」とか、またドロドロした方向に進みそうだけど。

       

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