Neetel Inside 文芸新都
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 エルナティの血液から生じた血液の滴はDr.ゲコの身体を蛹として
黒い鳥の姿をした人型へとトランスフォームを遂げた。
次第にその真っ黒な身体に真っ赤な目や口が浮き出してきた。

「ケルルルル……」

唸り声をあげながらも、真っ赤な目や口を動かし周囲を探る
その黒い人影は今は亡骸となったDr.ゲコの胸を見下ろす。
飛び出すときに肺や心臓、肋骨などを食い破りながら飛び出したせいか
体中からは臓物が飛び出しており、ゲコの遺体は醜い肉人形と化していた。
その人影は臓物をすくい上げ、一つずつ握りつぶしていく。
ブシュと音を立て、血が溢れ出すとその血をすくい上げるように
飲み干していく。

しばらくその作業を続けていたが、やがて人影はもう血を吸い尽くしたのか
最後の臓物を投げ捨てると立ち上がっていく。

カプセルに繋がれたエルナティを見上げると呆然と立ち尽くし、
そのカプセルを殴りつける。数度の殴打のうち、黒い人影の力では
カプセルを破壊できないことを知る。

「クンクンクン……」

人影はニオイを嗅ぎ始める。
嗅ぎながらエルナティ、ロスマルトの血液が入った注射器のある方向へと歩いていく。

「グきゅルルル……」

次の瞬間、人影は注射器を叩き割り始めた。
今度の破壊行動はうまく成功を収めたようで、
注射器は粉々に割れ、中からエルナティとロスマルトの血液が飛び出していく。

黒い人影はエルナティの血液へと指をかざす。
血液はまるでスライムのように、黒い人影へと吸い寄せられていった。
黒い人影はより一層力を増したように見えた。

「キシャぁルルルルル」

もう一度、その人影はエルナティの眠るカプセルを叩き割ろうとする。
今度はヒビをつけることは出来たが、これ以上はうんともすんとも言わなかった。

一方でロスマルトの血液は、そのまま地面を伝っていくとそのまま部屋の出口の扉へと
進んでいき、扉の隙間から外へと消えていく。

数秒の後、扉のロックが解除され
黒い人影は外へ目をやると、そのまま歩き出していった。
次の獲物を求めて……

ロスマルトの血液スライムは仮眠室に入り、仮眠をとっている兵士の耳へと入り込んでいった。
耳に違和感を覚え、飛び起きる兵士だが 気のせいかと思い そのまま眠りに就こうと
再び身体を横たえた。仮眠時間は2時間。その貴重な時間を無駄に使いたくはない。
そう思い、目を閉じた兵士は突如として次の瞬間 身を引き剥がされるような激痛に
襲われることになる。

周りの兵士が気づき、取り押さえようとするが
兵士は激痛のあまり暴れまわる。次の瞬間、兵士の胸を食い破り
黒い馬型の人影が血まみれになりながら飛び出してきた。

「カヒヒィイィイイイ……」

唸り声を立てながら、徐々に浮き出てきた赤い目と口を動かしながら
馬型の人影は周囲を見渡す。そこには腰を抜かした
宿主の同僚の兵士たちが自分を見つめている。

人影は口を裂きながらヨダレをたらし彼らを見つめた。
次の瞬間、その部屋から断末魔の叫びが廊下中にこだました。

       

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