Neetel Inside ニートノベル
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 二式竜戦車。双翼の下に動力となる二匹の飛龍を従えることにより、一式を上回る安定性と高い機動性を誇る。しかし動力となる骨大陸産の飛龍を2匹も使うことと重武装も相まって高コスト。そのため製造数は少なく、隊長機としてのみ運用されていた。
 コラウドとフェアを上空から狙う機体にも、甲皇国の軍幹部が乗っていた。エルフ特有の色素の薄い髪を後ろに流し、束ねて三つ編みにし、まばらなあごひげを生やしている。祖国アルフヘイムを裏切り、甲皇国の幹部となったヤーヒム・モツェピの姿がコクピットの中にあった。
 ロンド式爆撃照準器をのぞき込み、標準をつける。
「左右修正、右に3クリック。上下修正、下へ2クリック」
 自動でカウントダウンが開始される。
「5」
 カウントが0になれば翼の下に装備されている火箭かせんが発射され、魔力タンクは撃破されるだろう。
「4」
 ヤーヒムは何かに気付き、照準画面を最大望遠にする。
「3」
 そこに写っていたのは、クラウスに変装したコラウドの姿だった。
「2」
「クラウス将軍!?」
「1」
 火箭が発射される寸前でヤーヒムは標準を解除した。
「0」
 発射された火箭かせんは魔力タンクの左手前に着弾し、はでに炎上した。
 ヤーヒムはクラウスの顔を何度も確認し、すでに自分が術中にはまっているのではないかと疑心暗鬼に陥った。二式竜戦車は機体を旋回させ、ゲルの布陣する平野南西部を目指して飛んで行った。
 英雄クラウス・サンティが生きていたのだとしたら。甲皇国の戦略は根本から覆ってしまう。戦車戦には勝利したものの、ゲルに報告して善後策を練るべきだ。

       

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