Neetel Inside ニートノベル
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 馬頭平野を反時計回りの方向にアルフヘイム軍が広がっていく。甲皇国軍も負けじと時計回りに羽を伸ばす。あたかも2匹の鳥が翼を広げて競い合うように。兵数の少ないアルフヘイム側は中央がちぎれそうなほど薄くなっていたが、ヤーヒムは警戒して中央突破できずにいた。
 百日手かと思われた戦場に変化が起こる。ゆっくりと後退していたアルフヘイム軍左翼は戦場から離脱を開始したのだ。
「やられた。クラウスの狙いは包囲ではなく、本隊を安全に離脱させることだったのか。だが戦場に取り残された別動隊はどうする」
 黒騎士率いる右翼騎兵とコラウド率いる戦車残党は沢伝いに北上し落ち延びていった。
「おいおい、そちらは逆だろう。信じられん」
 退路を断たれたとはいえ、別動隊が敵地である北に向かったことを、ヤーヒムは痛快であると評した。血が騒いでいる。ヤーヒムはせめて自分の手で引導を渡そうと、別動隊を追った。

       

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