「何デヤネン……」
ロウはトクサの言葉の意味がよくわからなかったため、ボケたのかと思い礼儀としてツッコんだ。
丙家監視部隊。その名の通り、丙家を監視するために乙家が密かに結成した非合法組織。ロウもトクサも監視部隊の中でも特に重要な任務に就いていた。トクサは
ロウは影法師の
無口なロウでは話が続かない。トクサは給仕しているメイド服の少女に話しかけた。
「ハシタ、あなたは分かりますよね」
ハシタと呼ばれた少女は
「ごめんなさい、私もちょっと。どういう意味ですか?」
「かつて乙家と丙家はまったく別の国の王家でした。それから甲家が
「甲乙丙家を3種類の動物の合成されたキメラに例えた感じ?」
「はいはい、ちょっとお待ちを……」
結論を急ぐハシタを手で制し、トクサは話を続けた。
「それだけではありません。キメラはそれぞれの動物の食性が合わず、何も食べられず最後には餓死すると言われています。同じように乙家と丙家では経済基盤が違いすぎるのです。乙家は南部の農地を基盤にしているので、アルフヘイムと交流して農業技術を上げたい。丙家は北部工業地帯を領有しているので、武器を開発し戦争で消費し続けたい。だから乙家と丙家は争い続けるんですねぃ」