Neetel Inside ニートノベル
表紙

見開き   最大化      

 予約していた映画の回が一つ遅かったせいで暇潰しを強要された俺たちは、ゲーセンに向かったメンバーと別れてスポーツやボウリングが出来るステキな施設に来ていた。
「何やる? 色々あるけど」
「んー、来たはいいけど……どれもあんまり気分じゃねえな」
「おいちょっと、これ見ろよ」
 フロアマップの地下部分。ワンフロア丸々ブチ抜かれたスペースには『モグラ叩き』と書いてある。いくらなんでも普通のモグラ叩きが地下のワンフロアを占拠してるわけがない。俄然気になった俺たちがそのフロアまで降りていくと、だだっ広く開けた空間と普通のレジカウンターに座るスタッフがそこにあった。
「いらっしゃいませー。モグラ叩きをご利用ですか?」
「え、ええ、まあ……」
「こちら料金はお時間による前払い制となっております。30分・1時間・3時間・フリータイムとなっておりますがどのコースをご利用ですか?」
 俺は他の連中を振り返った。皆興味はなさそうだな。
「とりあえず30分で」
「ではこちらのハンマーをどうぞ」
 スタッフは奥からビリヤードのキューみたいな大きさのハンマを取り出してきた。槌の部分は枕ほどの大きさの木製で、結構重たい。
「なんか、デカくないですか……?」
「こちらのモグラ叩きは、通常のゲームセンターにある筐体などと異なり、フロア全体がモグラの出現フィールドとなっております。その大きなハンマーで全身を使ってモグラを叩きまくって、ハイスコアを目指してくださいね!」

 結局30分かけてフロア中のモグラを叩きまくった俺たちは、信じられないぐらい疲れ切って集合場所に到着した。
「なんかめちゃくちゃ疲れてるな。何やってたん?」
「モグラ叩き」
「なんだそりゃ。モグラ叩きでそんな疲れるのかよ」
「やってみれば分かるよ」
 ゲーセン組は信じていない風だったが、説明する気にもならない。
「それよかさっきゲーセンで面白い話聞いたぜ」
 話題を変えようと思ったか、別の一人が声を潜めて言った。
「あそこのラ○ワンって、昔の墓地の上に立ってるんだって。深夜になると地下の方から踏み付けにされた亡者たちの怨嗟の声が響いてくるから、肝試しに最適らしいぜ〜」
「怪しいなそれ。深夜とか店閉まってんじゃん」
 そう返しながら、俺はさっき叩いていたモグラの姿を思い浮かべていた。そういえばアイツら、モグラっていうよりちょっとゾンビっぽい感じだったなぁ。

       

表紙
Tweet

Neetsha