Neetel Inside 文芸新都
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 ひどく汚れたシャツの女の子と出会った時、僕はどうしてやればいいんだろう。彼女のために、新しい服を買ってやればいいんだろうか? それを彼女に着せてやればいいんだろうか。新しい服ですよ。清潔で、美しくて、機能的で。見違えるようになったね。王子様がそのうち見つけてくれるよ。目尻の涙を拭えばね。
 でもさ、僕はこうも考えるんだ。
 その女の子が、僕の買ってやった服に着替える時、何を思うんだろう。彼女に残った、最後の一片の誇りが消えちまうってことは無いんだろうか。僕が、その薄汚い服を捨てろと言う。僕の目の前で早く着替えろと言う。裸になった時、彼女は何を考えるんだろう。自分の尊厳が傷つくことを黙って見ているんだろうか。綺麗な服と引き替えにして。
 僕は誰の許可を求めているんだろう。何が僕たちの進む道を決める? ソーシャル・ネットワーキング・サーヴィス。僕の指導者になるはずだった存在。この手の中には何もないのさ。六万円と銀行のキャッシュカード以外には。

       

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