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   「魔法少女アリヤ The Fallen」   作者:どんべえは関西派

   【作品内容】
 少し見ない内にだいぶ更新されました今作品、前作アリスを中心に巻き起こされた大事件『ワンダーランド・インパクト』より数えて九年後の物語。
 『フレイヤ その③』まで読みました。流石の更新速度と頻度でございますが、その分というか色々と言いたいことはありました。前作から話を追い掛け感想も書いた手前、それも込みでの感想となります。故に毎度お馴染みネタバレ当然で行きますのでご理解くださいませ。


   【人物】
 主人公アリヤは前作の主人公とは違いそこまで病んでいるわけではないただの根暗ボッチ少女…と思いきや案外そうでもない模様。戦闘に愉悦を見出す狂気がどうにも前主人公と被ってしまっていけない。血縁的にも似た者同士ということですか。
 物腰柔らかく温和な久美、快活で元気一杯な瑠花。どっかで見たような…と思ったら魔法少女繋がりで『まどか☆マギカ』のマミさんとさやかにとてもよく似ています。物語最初に死ぬのも込みで久美なんかは類似点が多いように思えます。意識して似せてあるのかな…?
 瑠花が感じている圭一への負い目も、別にそれほどのことではないような。下半身不随は重傷ですが、それに至ったのは圭一の不注意が大きいですし。ちょっと逆恨みな感が強いような気がしていまいち同感とはいきませんでした。
 魔法少女化した際に発現する能力がその少女らの求めた、あるいは望んだものに対応されているのは前作の契約魔法少女らと同様のようです。ただわからないのはスパラグモスやクライシスの契約無しで魔法少女化している理由。関わっているのは原初の魔法少女とやらのようですが、それはまだ現時点では一切不明。
 っていうか、いい加減この特殊能力持ちの女の子達が『魔法少女』と総称されている理由が知りたいですね。もしかして、ただ女の子限定で、変身できるから魔法少女という名称で通しているだけ?
 登場人物は時系列としての現在、アリヤ登場より前の『史上最悪の魔法少女』との決戦にて集結したメンバーも多く、その全容もまだわからないです。まあすぐ更新されると思うので乞うご期待して待ちます。


   【文章】
 正直、今作(前作もですが)にて最も書き連ねなければならないのはこの項目であると鹽竈は強く感じています。おそらく長くなります。
 文章が全体的・部分的の両面において酷く多用され過ぎているものがあります。『すると、そのまま、過言ではない、どうやら、その、それ、そして、まるで』等々、一つの文章内でも二つ三つと同じように用いられているのをよく見かけます。
 人物の心情や外見の描写等にも、気になる点がいくつか。挙げていきます。
 魔法少女が圧倒するシーンでは『余裕綽々といった様子で』、物や現象の説明には『世間一般的に』、絶望少女や魔法少女との戦闘で相手を斬り付けた際の『心地よい感覚』、能力・物質・麗装が発動した時の『顕現』。
 同じような単語や書き方が多く、コピペしているかのような錯覚を覚えるレベルでこれが続きます。これらは前回の感想でも書いた通り、同じ状況や現象でも言い回しは多数あると思います。同一の言葉描写の連発は読者にとっても書き物としてもよろしくはありません。はっきり言ってしまうと飽きてしまうのです。
 相手が慢心していたら、どのような表情仕草でそれを示しているのか。武器や未知の現象は何に似てどんなものであるのか。攻撃の手応えに何を感じているのか(あるいは何を思ったのか)。敵や味方の能力はどのように出現したのか、どう展開されたのか。
 これらを明確に、かつ伝わりやすく、それでいて端的に明示することが大事です。これは地形地物にも同じことが言えます。街中といえども完全に無人であるのは妙だし、どこまでも同じようなビルが連なっている場所で決まって戦闘をしているわけではないはずです。その辺りの表現や描写が抜けていたり甘かったりするのを自分としては感じました。
 参考までにこの辺りも少し抜粋しておきます。

 戦闘その①より、
 『今まで見たどんなものとも形が違い』
 『普通の少女が着るようなものではない独特な形状をした服』
 『短剣と普通の剣の間くらいの長さの剣』
 『独特な色をしたオーラ』
 外出その①より、
 『この猫耳は特に凝ったところのない普通のもので、シンプルイズベストというのがぴったりだった』
 戦後その②より、
 『少し派手な戦闘服という表現がぴったりくるだろうか』

 形がわからない。普通の少女の着ない独特な形状や、普通の剣という表現はだいぶ手抜きな表現ではないかと思います。ナイフにだってダガーサバイバルマチェットバタフライ色々と種類があります。表現できないにしても、それに似た形状を探し出し例えとして出すことで読者にもなんとなくのイメージが湧くのです。形状や色や外見を雑に書いてしまうのは読み手に優しくありません。
 あとは単純な誤字脱字が。…前作よりは減りましたが、それでも比較的多く見かける点は変わりません。
 後悔→公開 触手→職種 自信→自身 期待→機体 
 この程度であればまだわかるのですが、『冷蔵庫→麗倉庫』や『バイブ→倍部』など時折目を疑うような誤字が散見されることがあります。接続詞にも違和感を覚えることが。
 気を付けるべき点がいくつもある文章であり、読むだけでもいらぬ苦労が読者に掛けられてしまいます。小説の書き手として、これは目下最大限に修正すべきものであるのは間違いありません。
 既に完結まで書き終えておられるようですし、多少時間を要してでも余裕を見つけて推敲を試みてはいかがでしょうか?学校が終わったあと、部活が終わったあと、社会人よりは少なからずそれらをする時間を見つけることは可能だと思いますので!
 

   【ざっくり感想】
 物語はとても面白いですし、人物もそれぞれクセがあって飽きないキャラクターばかりです。だからこそ、小説としての根幹を成す文章に注力して頂きたいと強く願う作品と作者さんであると思わずにはいられません。
 これは大長編であり、今後もあと二・三作の続編が確定されているシリーズです。鹽竈も仕事の合間合間に余裕を見つけて追い掛けている最中であります。是非とも、一読者として感じた部分を見直してみて、出来る範囲で自らの書いた文章を見直してみることをお勧めしたいです!
 …随分、長くなってしまいました。相変わらずの駄文で失礼します。そろそろ過労で死にそう。僕も魔法少女システム組み込みたい。

       

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