「やあ。ハムベじゃないか。困るね、また現場を荒らすつもりだろうね。」
「いや人間君すまん。実は昨晩ニュースで近くで事件があったと知ってね。是非この事件を探偵させてくれ。」
警部である人間はハムベを一瞥すると、探偵業とは儲かるのだろう、いやに良いコートを着ていやがると思った。にんにんが殺されていたのは1階の15畳程の広いリビングである。足先には立派な暖炉があった。ハムベは暖炉に顔を入れてみた。そして死体があった周辺(既ににんにんは検死にまわされている)を床に顔をつけるように観察した。分厚いカーペットはややボサボサして臭かった。それからいくつもの部屋を見た後、2階のゲストルームへ入っていった。ホテルのようにそれぞれにシャワートイレがついているのだった。
「なるほどにぃ。」
ハムベは窓を開けて白樺の葉が風に蹴とばされていくのを眺めていた。