No9「決闘!侵略怪獣を倒せ!」

宇宙の道徳に従って凶悪な侵略星人と戦う白い胴着に身を包んだ宇宙の空手家、カラテレンビクトリー。
地球を守るために幾多の侵略星人を葬ってきたビクトリーは、その日侵略星人に襲われ、異空間に囚われていた。

何もない真っ赤な空間で、目の前に現れた星人に構えをとるビクトリー。
白い毛玉から触手と人間の手が生えたような姿のその星人の名は、バクトル星人、生物兵器製造を得意とする侵略星人で、今までバクトル星人の手で滅ぼされた文明は、数知れない。

「カラテレンビクトリー、我々の地球侵略にはどうしても貴様が邪魔だ、そこで貴様にはここで我々が作りだした怪獣と戦い、死んでもらう」

ビクトリーを指さし、淡々と述べるバクトル星人。

「望むところだ!かかって来い!」

星人の挑戦を真っ向から受けて立つカラテレンビクトリー。

「いでよ、ンモデルガ」

そう言ってバクトル星人が下に手をかざすと、赤い空間からゲーム機の様な物を持った、星人の半分ほどの背丈の少女が現れた。

「それが怪獣…」

予想外の姿の怪獣に、ビクトリーは思わず呟く。
バクトル星人もカラテレンビクトリ―も40m以上の巨体であり、それと同等の大きさである時点で、目の前の少女が地球人類ではない事は明白だったが、それでもその容姿はあまりにも異様だった。

「ンモデルガは我々が誇る侵略怪獣だ、人類のあらゆる兵器に耐える防御力と耐久力、絶大な攻撃力と単体での繁殖能力、更にはコンピューターを駆使しての電子戦能力まで備わっている。
この怪獣の力なら、地球到達後1年弱で人類を根絶する事ができるだろう」

少女の姿をした侵略怪獣、ンモデルガの肩に手を置き、自慢気に語るバクトル星人。
やはり少女なのは外見だけらしい。

「そうはさせん、行くぞ!」

バクトル星人の解説で目の前の敵への躊躇いが消えたカラテレンビクトリーは、勇躍、ンモデルガに立ち向かっていく。
ンモデルガは星人から離れると、ビクトリーめがけて身を屈めて駆けだした。
正面から迫るンモデルガにビクトリーは正拳突きを放つが、ンモデルガはそれをひらりとかわし、ビクトリーの頭に飛び蹴りを放つ。
ビクトリーがそれを防いで空手チョップで反撃すると、ンモデルガは空中で空手チョップを蹴り落とし、逆にビクトリーの顔面に蹴りをさく裂させる。
それに怯まず、着地したンモデルガめがけて今度は回し蹴りを放つビクトリー、だがンモデルガは最小の動作でそれをかわし、ビクトリーの腹に拳をさく裂させた。
すさまじい衝撃に転倒するビクトリー、そこにンモデルガは眼から光線を放ち追撃する。

「あああ…!ぅうう!」

光線を喰らい、悶絶して苦しむカラテレンビクトリー。
ゲーム機を持ち、両手が塞がったまま、ンモデルガはビクトリーを圧倒していた。

「所詮は宇宙空手など科学の結晶たる生物兵器の前では児戯に等しい、死ね、カラテレンビクトリー」

勝利を確信し、高らかに宣言するバクトル星人。
しかし、カラテレンビクトリーは光線を受けながらも立ちあがると、体に裂ぱくの気合を込める。

「セイ!!」

ビクトリーは気合をエネルギーに変えて放出し、ビームを弾き返すと、ンモデルガの腹部に拳を見舞った。
予想外の出来事にそれを避けられず、もろに喰らって怯み、手にしたゲーム機をとり落とすンモデルガ。
ビクトリーはその腹に必殺の正拳を叩きこんで大穴を開けると、バクトル星人めがけて蹴り飛ばした。

「馬鹿な!?何故…」

驚愕するバクトル星人はンモデルガの爆発に巻き込まれて四散し、赤い空間が消滅して、ビクトリーは通常の宇宙空間に戻ってくる。

「背負う物が違う、覚悟と伝統が、宇宙空手を強くするのだ」

青い地球を背にして、カラテレンビクトリーはつぶやいた。