Neetel Inside 文芸新都
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No11 「ある日の出来事」

ある日の午後。
とある大学の研究施設前にある公園のベンチで食事をしていたOLのKは、奇妙な物を見た。
溶接のマスクの様な物をつけた、背の低い人物である。
その溶接マスクの何者かはKの横のベンチに座ってタバコを吸っていた男性に後ろから近づくと、手にした針の様な物で男性の首筋を突き刺した。
男性は心臓を抑えて苦しみながら倒れ、悶絶し始める。
それを見た周囲の人間が集まってきて、救急通報などをし始めるがが、誰も溶接マスクには反応しない。
異様なその光景に、Kが溶接マスクを凝視していると、溶接マスクの視線が自分の方を向いた気がして、Kはその場から走り去った。

その夜、Kはテレビであのベンチに座っていた男が死んだ事を知る。
そして…、テレビはその後起こった事と、あの溶接マスクの正体を事細かく話し始めた。

あの後、Kが去った公園に宇宙道徳に従って人類のために戦う宇宙の空手家、カラテレンビクトリーが現れ、溶接マスクを白日の下にさらし、一撃で粉砕したという。
しかもビクトリーはそれを唖然と見つめていた観衆に、この怪人が侵略星人で、遺伝子工学の権威達を狙っていた事。この星人が見える体質の人がいたかもしれないが、健康に影響は無い事を伝えたそうだ。
頼もしい宇宙の空手家のおかげで妙な不安を抱える必要がなくなり、Kは事件の事を頭から消すと、翌日の仕事の事を考え始める。
明日も何事もなく、一日が過ぎていくだろう。

       

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