Neetel Inside 文芸新都
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1月19日/星の王子さま、そして

すごく小さなロシア帽、ウシャンカを被っているらしい。
あまりにもサイズが合っていなくてそれ以外の服装は分からないけれども、多分寒い所だ。
少し歩いてみると、さっき見たような看板。
「ここ」から「ここ」まで10分、と書いている。
どうやら、少し歩くだけで元いた場所にぐるりと戻ってしまう、小さな星の上。
先日、どこかでぼんやりと聞いた言葉を思い出す。
永遠の果てには、永遠に歩いて、そのさらに果てまで永遠に歩かなければいけない。
ベルクソンなら量と質との混同と言うだろうけれど、今の私には現実問題だ。
でも、空を見上げるとたった数光年先にあるような巨大な星の数々。
今までに見たことがないような不定形の宇宙。
このままここにいてもいいかな、と少し思う。
その一方でここにいてはいけない、という思い。
右ポケットに入っていたハサミで、左耳と鼻を削ぎ落としたところで、世界が明転する。

       

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Neetsha