Neetel Inside 文芸新都
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1月21日/不条理な天辺

5cmほどの、いくつかの鉄パイプだけで組み上がった高さ100m近い塔の上。建築用の枠組を想像するのが、いちばん近いかもしれない。
上、というのは正確ではなく、辛うじて掴まって、足を滑らせないようにしているだけだ。
足場と手すりは並行した一本のパイプだけ。ブーツの底はつるつるで、気を抜けば今にも落ちてしまいそう。
手すりを頼りに、一歩一歩足を下ろしていこうと試みるけど、手や足に力を込めるたび手すりも足場もグラグラと動いてしまう。
どうやら、私の重みでバランスをとっているらしい。
これでは下へ行くには落ちるしか方法が無い。
空を飛べたら良いのだけれど、生憎そんな能力もなく、落ちないよう落ちないよう、手すりを痛いほどに握る。
そんなふうに力を込めれば、また塔はグラグラと動きはじめる。
周囲にはこの塔より高い建物は無く、家々が点のように見える。
どうしよう、と思案に暮れる。少しずつ日が傾いてきた。
力尽きて落ちる以外、未来はないのかもしれない。
あるいは、ずっとこのままなのかもしれない。奇妙なバランスの中で。

       

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