Neetel Inside 文芸新都
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意志と表象としての世界
2019年5月

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5月3日/第二の性

眼が覚めると性別が変わっていた。つまりは、男性に。
鏡を見て、顔の形やつくりに少し違和感があって気付いたのだけれども、その程度で済む程度には中性的でなかなかの美青年だ。
ただ、性別なんかでは何も変わらないし変えられない。
仕事をして、本を読んで、眠るだけ。そんなものだ。
とりあえずは家電用品店へ行って、ジリジリと回す黒電話を買うことにする。
頭の中に誰かが、アナログ式の電話は22世紀の必需品だ、と話しかけてくるから。
店頭にはずらりと黒電話が並んでいて、値段は1000円から10万円とバラバラ。
なんでこんなに値段が違うのか、と店員に尋ねると、ダイヤルの回し心地が違う、ということだった。

       

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