Neetel Inside 文芸新都
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5月26日/オムニバス形式の贅沢な悪夢

吹雪の中を一人歩いている。
周囲は木々が生い茂った一本道。道幅は6メートルほど。
膝丈くらいに雪は積もり、足跡は自分のものだけ。
遠くまで目を凝らしても、建物などは見当たらない。
これはたくさん歩くことになるぞ、とひとりごつ。
数キロほど歩いていると、前から巨大な白熊が走ってくる。
急いで雪の中に隠れようとするけれど、うまく体が動かない。
あたふたしているうちに喉もとから食べられてしまう。

イマヌエル・カントが抑揚もなく話すことによれば
「世界は存在しない」ということだった。
そんな新実在論みたいなことを、と苦い顔をすれば
表情は一変して、そのうちに眼が眼窩からぼとりと落ちる。

中学生時代のブレザーを着て、校庭に立っている。
授業は始まっているらしいので校内に入ろうとするけれども、
鍵が閉まっていて入れない。
無意味な焦燥感に苛まれて、ガラス戸を靴で叩き割る。
大音量で警報が鳴り響いたので、驚き急いで走り去る。

何かのレポートを書いている。
その隅に挿絵で、妙に丸っこくて、変なキャラクターを描くことに。
名前はぴょこ太、とかそんなの。
しかしまったく満足いくものが描けない。
ちょっとした線を引き、すぐ消してはまた描いてを繰り返す。
気づくと提出まで時間も無い。
焦るばかりで筆はまったく進まない。

       

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