Neetel Inside 文芸新都
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5月31日/古ぼけた部屋のなか

ひどく草臥れた、6畳の和室にいる。
畳はぼろぼろで、ところどころに黒いカビが生えている。
部屋の真ん中に鎮座する、ダイヤル式のブラウン管テレビからは
ニュースが流れていて、画面の上を蛆虫やミミズが這いずり回る。
その隣に汚れたスツールが置いてあるけれど
どうも腰掛けるのも気がひけるので、じっと立っていることにする。
しばらくそうしていると、テレビでは
キャスターのおじさんの顔のアップが延々と続く。
その上を楽しそうに数匹の虫が蠢く。
これでは虫もおじさんもかわいそうだ、と思い、
窓から外へと出してやることにする。
ただ、窓とテレビの間のたった数メートルが
永遠とも思えるぐらいに、歩くことがままならない。
そのうちに虫たちは足元から這い上がってくる。

       

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