高校生編(12) 噂

 文化祭の時だけでなく、学校での日常生活においても、私は常にA君とK君と一緒であった。授業の合間などに趣味の話で盛り上がったり、学食に一緒に行ったりもした。
 
それ以外のクラスメイトとはどうだったかというと、当時すでに入学してから半年以上経っているにも関わらず、未だにまともに話すことさえできなかった。
そんな中、とある噂がクラスの中で立ち始める。
 
私が同性愛者(具体的にはホモと言われた)である、という噂だ。

 その噂を耳にしたとき私は少し嫌な気持ちになった。勘違いされると困るので言っておくが、自分がホモと言われていることに対してではなく、事実では無いデマを流されていたことに対してだ。後、それを楽しそうに噂しているクラスメイトの顔も嫌だった。

さて、なぜこのような噂が流れたのだろうか。前述のとおり私はA君とK君にいつも付きっ切りであったし、また、彼ら以外のクラスメイトつまり、女子とは一切関りを持っていなかったから勘違いをされたのであろう。(それで、同性愛者とするのはすごく偏見的だと思うのだが)

 ちょっと余談ではあるが、この件に関しては、今思えば、私の容姿が少し関係している節もあるかもしれない。私は男であるが、母親似で少し女性的な顔つきをしている。

 それで某事務所のアイドルように品のある顔であったら良いのだが、女性的といっても整った顔ではない。顔が歪みに歪んでいる。さらに、顔に占める唇の面積が大きく、つまりは、かなり不格好なのだ。

 バランスが悪いうえに男性的ではない私の顔は傍から見ている人にはおもしろいらしく、幼いころから、男女(おとこおんな)、たらこ唇、唇お化けなど様々な悪口を言われてきた。
 大学生の時には、同じゼミの女子が唇を大きく突き出し目を泳がせ、私が緊張しているときの表情を真似している、と言いながら他のゼミ生の前でそれを見せて、からかわれさえもした。

 話がそれすぎた。まあ、とにかく私の顔は女性的であるが、不細工なのだ。そのため、からかうのに「ちょうどいい」。ホンダのCMに出ていたジョンレノンの息子も納得するレベルだ。だからこそ、悪口が言いやすく、今となっては不明であるが、その延長線上に今回の噂があったのだと思われる。デマなどはそういった人の悪意から生まれるものだ。

(同性愛者の方々に失礼であるし、こういった噂はあまり人をからかう道具として使用すべきでないはずだ。)

 ちなみに、この噂は結局なりやまず、私が高校2年生の前半になるまでは続いていた。しかし、それからしばらく経つといつの間にか風の前の塵のように消えていた。
 
 噂なんてそんなものである。噂された当人以外はおもしろいし、一時は重宝されるが、結局、時がたつと新鮮でなくなり、やがて風化していく。まるで一発屋芸人みたいなやつなのである。