Neetel Inside 文芸新都
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忘却のウサギ

悲しいくらいの存在証明。
二人の少年が、ある賭けをした。
少年の名前は、ハンスとアルフォンス。
彼らはウサギを使って、ちょっとした奇妙なことを思いついたのだった。

「最近この街では、記憶を失って死んでゆく奇妙な病気が流行ってる・・・」
「だったら、そこらへんの野山にいるウサギを捕まえて、試してみればいいじゃないか」
そう意気込んで山へ入る。
30分もせずに、哀れなウサギはつかまった。

「次は死体だ、どこがあるかな・・・ハンス?」
「アルフォンス、死体といえば墓地だ」
そう言って入るモルグ。
地下に備わった、それはあたかもカタコンベ。
壮麗な死体の山をくぐりぬけ、まだ新鮮な死体を探す。
二人が選んだのは、息を飲むような若い女性の死体。
二人は服を脱がせてひとしきり死体をもてあそぶと、とうとう脳をほじくりだし金属のバケツに収めた。

「アレは流行り病なの?」
「違うさ、だって俺の母さんはあの病気で死んだけど、父さんはあの病気じゃない」
そう言いながら、女性の脳をウサギに与える。
存在証明は冷酷。
子供は無邪気で、残酷。

「ハンス、嫌な予感がするよ・・・」
「大丈夫、こんな事じゃ伝染りはしないさ」

10月10日立ったころ。
ウサギは見事に痙攣してた。
二人はすっかり忘れてたころ、その恐怖をまざまざと思い出させる。
「・・・俺たち、死ぬのかな・・・・・・」


さて、忘れ物がある。
あのバケツの中身、どうしたと思う?

       

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