Neetel Inside 文芸新都
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昔々、あるところに男がいました。
男はウサギ狩りで生計を立てていましたが、貧しくて、更に王国のヒトたちの伐採で森が死んでゆき、ますますウサギは取れなくなりました。
困り果てた男はさてどうしようと思案の結果、今まで殺してきたウサギたちを助けて、牧場のようなものを作って買うことにしたのです。
男には土地を買う金もありませんが、山の裏の大地主のじいさんを自慢のライフル銃で撃ち殺して奪い取りました。
「ウサギよりも楽じゃねえか」
男はじいさんを殺したとき、にやりと笑いました。

今まで必死にウサギを撃ち殺してヒトに売っていたのを、その瞬間男の脳は逆転してしまい、撃ち殺したじいさんの死体を男は斬り刻んでウサギにやることにしました。
「なるほど・・・コレなら今までの俺の贖罪にもなるだろうか?」

・・・贖罪とは罪深い言葉!!

それから男は夜な夜な街に降り、罪無き人を男も女も、年も関係無く撃ち殺しつづけました。
その死体はまたたくまにつみあがり、男は台車に死体を積み込むと、翌日は大きな鍋で煮込んでほろほろにやらかくなったころウサギたちに与えたのです。
そのうちに、男の頭にはウサギの耳が生え、ウサギの言葉が聞こえるようになりました。

ウサギたちはいつも喜んでいました。
「お兄さんはいつも僕たちを殺していたけれど、気がつけば僕たちを生かしてくれている。ありがとう、ありがとう」
男は感激して、言いました。
「あぁ、俺はお前たちをもっと喜ばせたいんだ。どうすればいい?」

その日はとっても明るく蒼く、月が照らしておりました。

「・・・あなたの肉が、欲しい」

男は自ら、あの大きな鍋に飛び込んでしまいました。

       

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