Neetel Inside ニートノベル
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 実際のところ、なぜ弾が当たるのかということはのび太自身も理解していない。
 ただ、なんとなく、自分にそういう力があるのだけは知っていた。
 そもそも照準機の使い方すら知らなかった自分になぜ射撃の才能があるのか、幼いころには考えもしなかったことをなんとなく考えた結果たどり着いた答えは、『当たる気がしたから』というひどく非科学的なものだった。
 しかし、それ以外に答えが見つからないのだから仕方がない。
 当たる、という確信。もっといえば、頭の中でイメージしたものの急所に指先が引き付けられ自動的に狙いが定まる感覚。
 撃つと決めた瞬間に手が目標の急所に向かって、まるで磁石どうしが引き合うようにススス、と引き寄せられる感覚があって、その不可視の力が最大限に達した瞬間に弾を打ち出せば必ず当たるのだ。
『撃つと決めた瞬間に目標と指先とを最短距離で繋ぐ引力』それこそが彼の持つ奇妙な異能なのだが、のび太自身はこの奇妙を奇妙とすら感じていない。
 人によってあったりなかったりする“顔のほくろ”のようなものくらいにしか思っていなかったりする。
“直死の魔弾”
 彼は自身の能力をそう呼んでいた。

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