Neetel Inside 文芸新都
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三題噺コンテスト会場
No.27/不明/不明

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佐藤君との初デートは、結局佐藤君の仕事がたくさんはいってしまい、4月30日の日曜日しか空いてなくて自動的にその日となった。

 

 しおりちゃんは妙に鼻が利く。と、あたしは思うんだ。

「かーれーんちゃーん」

 リビングのソファに座り携帯電話相手ににやにやしてたら、しおりちゃんがしなだれかかってきた。液晶画面を覗き込もうとする。うぎゃぎゃ。咄嗟に手を高く上げ、ぱちんとそれを閉じた。

「な、なに? しおりちゃん…」

気持ち悪いよ?

「気持ち悪いってね。かれん」

しおりちゃんは居住まいを正すと、「あんた、最近ちょっと変」

真面目な顔でそう言われた。

「え」

 どきっとする。しおりちゃんの目が再び三日月形になった。ほんっと、気持ち悪いってば。

「ケータイ買ったかと思ったらにやにやしながらいっつもそれ、手にしてるし。足元ふわふわして心ここにあらずだし。─── ねえ、まさかとは思うけど、ひょっとしてカレシでもできた?」

「……」

 ん?

 今、なんていうか、ビミョウに失礼なことを言われたような…。

 考えながらも自然顔が赤くなっていた。

「ど、ど、どうして?」

「どうしてって。え? まじで?」

しおりちゃんの目が大きく見開かれた。「ほんとに? ほんとに、かれん、カレシができたの?」

 あたしは顔をさらに赤くすると、唇は閉じたままでぶんぶんと右手を顔の前で振った。唇を開くことなんかできなかった。開けば尻尾を掴まれてしまいそうだから。しおりちゃんはそういうひとなのだ。抜け目無い。

「うっそ…」

 しおりちゃんは呟くみたいに言う。すんごく衝撃を受けてる顔に見える。

 ─── なんでだ?

「ち、ちがうって、ちがうって言ってるじゃん」

 あたしは、キッチンのほうを窺いながら強く否定した。今までになく混乱していた。キッチンには母がいる。換気扇の音に掻き消されて、多分こちらの声は聞こえていないだろうとは思うけど。

 まだ佐藤君とのことは家族の誰にも知られたくなかった。

「へえ…。かれんにカレシがねえ。へえー」

       

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