Neetel Inside 文芸新都
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「はい」
 複雑な式をかき込んでいく。おおよそは四大要素を示す記号だった。

「そしてユウトはさらにその上の四化成要素からなる使い魔、
 故に四の使い魔と呼ばれる存在なの」
「四化成というのは、あり得るんでしょうか」

 スーシィとシーナは近くの椅子に腰掛けて後ろ手にあった黒板に何やら書き出しながら説明を始めた。

「おさらいになるけど、
 通常魔法使いは自分の得意とするマナの性質というものを持っているの。
 火、水、風、土の四要素よ」

 シーナは頷きで返す。
「得意系統にも個人によって優劣の順番があるわ、
 この学園でも教えてるところね。
 例えば、火の次に風の魔法が得意だったりとかそういうこと」

「四化成は全てが得意ということでしょうか」
「有り体に考えればそうね、
 使い魔は主人(マスター)の得意系統を純粋に投影してしまうものでしょ。
 だからその得意系統の数によって二化成、
 三化成という名の下に二の使い魔、三の使い魔という呼び名が存在するわ」

 でも……とスーシィは続ける。

「四の使い魔はもっと特殊なのよ。
 考えてみて、四つも得意系統があると互いの系統を打ち消しあってゼロになってしまう。
 これは得意系統とは言わない。
 現実的にあり得ないことになるのよ」

「そうなると、三化成は打ち消しあわないんですか」
 いい質問ね、とスーシィは黒板に十字の線を引いた。

「火(左)、水(右)。風(上)、地(下)。
 この二つは互いに打ち消す要素となるけれど、例外が存在するの。
 それが、最初で言った得意系統の順列よ」

「対立系統の間に他の系統が入れば、バランスが取れる……?」

「その通り、凄いわねシーナ。数年前にようやく立証された研究よ」
 スーシィは魔法で黒板を右斜めにして、その十字を×字に見えるようにした。

「この三化成要素のバランスについてはこのように解釈するといいの。
 得意系統が火で地と水が同じくらいに得意。
 すると、火の得意系統の間に地があって水とは対立しない構図になるでしょ?」

 スーシィは⊥を書いて両端に地と水、上に火を書き入れる。
「……よくわかりました。では、四の使い魔はどういうものなんですか?」
「これは、私の研究でしかないのだけれど
 ――最初私はこの研究をみて◇か□の系統バランスをイメージしていたの」

       

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