Neetel Inside 文芸新都
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4の使い魔たち
入れ違いの使い魔

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「「ええぇぇぇ――!」」
「ゆ、ユウト。ごめんなさい、私のせいでっ」
「いや、シーナは悪くない――けど、どうなっちまうんだ?
 あいつらハルバト退治に行ったのか?」

 魔法陣は転送後の余韻でマナを帯びて光っている。
 紛れもなく魔法陣が発動した証拠だった。
「多分そうです、これを見て下さい」

 そう言ってシーナは黒板にあったクエスト一覧を指さす。
『ハルバト退治――100ポイント@現在進行中』
 どうやらこのクエストへは何度も飛べるように設定されていたらしい。

「良かった、これで追えるぞ」
「で、でも……」
「何してるんだ? 早く行こう」
 ユウトはシーナを急かすが、シーナは曇った顔でいた。
 この間のダンジョンに沸いたサンドワームなど比ではないからだ。

「頼む、シーナ」
「は、はい」
 ユウトが頼めばシーナは頷くしかない。
 悪いと思いつつも、魔法陣へユウトが乗ると、シーナも思い切ったのか、続いて乗る。

「よろしいですか?」
 魔法陣の横からしわがれた声で投げかけられる。
「はい、ハルバト退治でお願いします」
 シーナはそう言うと、メイジは瞬時に転送装置を作動させた。
 ぐわりと空間が歪み、光りが収縮される。
 ユウトは前回の失敗を思い出して、シーナの手を握った。


 …………。
 ――――――。
「ユウト……」
 はっと気がつくと、景色は一面茶色だった。
「普通に飛んだんだな……」

「もしかして、前のを思い出して手を握ったんですか?」
 シーナはくすりと笑った。
「あっご、ごめん」

       

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